韓国科学技術情報通信部は9月16日、全北特別自治道と慶尚南道の製造現場を中核に、フィジカルAIの研究開発を本格的に進めると発表した。全北では異なるロボットや設備を単一システムとして統合管理する「工場オーケストレーション」技術を、慶南では製造現場での実動作と精密制御に対応する大規模行動モデル(LAM)を開発する。
同省は同日、ソウルのノボテル・アンバサダーで、両地域を対象とするフィジカルAI研究開発事業の着手報告会を開いた。
会合には、イ・ドギュ科学技術情報通信部情報通信政策室長、チョン・ドンヨン共に民主党議員、チェ・ヒョンドゥ国民の力議員、コ・ジョンサム全北道経済副知事、チェ・マンリム慶南道経済副知事のほか、研究機関、大学、企業、関連団体の関係者ら約200人が出席した。
韓国科学技術情報通信部は、製造データ、AIモデル、デジタルツイン、ロボット・設備制御、現場実証を連携させ、フィジカルAIの全工程をカバーする研究開発体制を構築する方針だ。
全北では、「協業知能フィジカルAI基盤ソフトウェア(SW)プラットフォーム研究開発およびエコシステム整備」事業を推進する。期間は2025年から2030年までの5年間で、総事業費は7368億ウォン。製造・物流現場に特化したフィジカルAIの中核技術を開発し、実証まで進める。
中核となるのは、異なるロボットや設備が協調動作できるフィジカルAI向けのSWプラットフォームだ。これを基盤に、工場全体を単一システムとして統合する「工場オーケストレーション」の実装を目指す。
具体的には、工場レイアウトや物流ロボットの動線を自動設計し、3Dデジタルツインを用いて仮想環境で検証する。さらに、ビジョン・言語モデル(VLM)による状況認識や、強化学習に基づく統合制御技術を、実際のテストベッドや製造現場に適用する。
また、前年の概念実証(PoC)の成果を踏まえ、AIが工場の設計、構築、運用を担う汎用的な「ダークファクトリー」モデルの開発も進める。今後は産業別のアンカー企業と連携し、標準化と相互運用性を備えた「K-製造工場」の輸出モデルへ発展させる計画だ。
慶南では、「人間―人工知能協業型LAM開発・グローバル実証」事業を進める。防衛産業、造船、機械などの製造業基盤と210カ所の産業団地を活用し、2025年から2030年までの5年間で総額6763億ウォンを投じる。
中核技術は大規模行動モデル(LAM)で、製造現場の作業者やロボットの行動、物理法則、空間情報を組み合わせたデータを学習させる。これにより、製造現場での実動作と精密制御に対応するモデルの構築を目指す。あわせて、デジタルツイン、データパイプライン、シミュレーション、ニューラルネットワーク処理装置(NPU)ベースのインフラとも連携させる。
この事業では、AIの学習から製造現場への配備、作業結果を反映した再学習までをつなぐ循環型の運用体制を整備する。韓国科学技術情報通信部は来年までに、代表的な製造工程データ、主要データパイプライン、双方向デジタルツイン、プラットフォームの最小機能製品(MVP)、主要な検証体制を整える方針としている。
2030年までには、13工程以上を対象に現場デジタルツインと仮想製造工場(FAB)を構築する計画だ。あわせて、閉ループ自動化率90%以上、再学習結果の反映を24時間以内とすることを目標に、統合実証を進める。
事業には、国内の大学、研究機関、企業約150機関から研究者約3500人が参加する。中小・中堅企業は107社で、参加機関全体の約68%を占める。
韓国科学技術情報通信部は、全北と慶南が持つ異なる製造基盤と技術的強みを生かし、フィジカルAIの中核技術を確保するとともに、その成果を全国の製造現場へ広げていく考えだ。
イ・ドギュ情報通信政策室長は「全北と慶南の成果が全国の製造現場へ広がり、最終的には大韓民国の『K-製造工場』を世界市場に輸出できるよう、積極的に支援していく」と述べた。