日本国債利回りの上昇は、暗号資産市場にも影響を及ぼす可能性がある。写真=Shutterstock

日本の20年国債入札で平均落札利回りが上昇し、長期金利の再評価が改めて意識されている。入札需要の大幅な悪化は確認されなかったものの、今後、日本銀行の政策変更や円高進行が重なれば、円キャリー取引の巻き戻しを通じてビットコインなどリスク資産の逆風となる可能性がある。

CryptoSlateによると、15日に実施された日本の20年国債入札の平均落札利回りは3.856%だった。8月20日の前回入札時の3.698%から15.8bp(1bp=0.01%)上昇した。

一方、長期債需要が大きく崩れたわけではない。競争入札の応札倍率は3.98倍から約4.01倍へ小幅に上昇し、最高落札利回りと平均落札利回りの格差も1.5bpから1.3bpに縮小した。

市場では、今回の結果について、入札不調というより投資家が日本の長期債保有にこれまで以上の利回りを求めた結果との見方が多い。日本の長期金利に対する市場の見方が変わりつつあることを映した形だ。

暗号資産市場で焦点となるのは、20年国債の利回りそのものより、円の調達環境の変化だ。投資家は相対的に低い日本の短期金利で円を借り、高い利回りが見込める株式や暗号資産に資金を振り向ける「円キャリー取引」を活用してきた。

日銀の政策変更で借り入れコストが上昇したり、円高が進んだりすれば、この構図は揺らぐ。円建てで調達した資金の返済負担が重くなり、レバレッジポジションの解消が進む可能性があるためだ。そうなれば、世界の株式や暗号資産などリスク資産全般に売り圧力が波及しかねない。

もっとも、今回の20年国債入札だけで円キャリー取引の巻き戻しが始まったと判断するのは早計だ。20年国債利回りは短期の資金調達コストを直接示す指標ではなく、今回の結果が示したのは、長期国債の投資家が従来より高い利回りを要求しているという点にとどまる。

実際、入札当日の市場では明確なリスク回避の動きは限られた。ロイターによると、入札前の時点で日経平均株価は小幅高となり、円は対ドルで下落した。ビットコインも当時7万7700ドル前後で推移し、当日の下落率は1%未満にとどまった。

このため、今回の入札結果をビットコイン下落の直接要因とみなすのは難しい。むしろ今後は、日銀の政策変更と円相場の動きが、長期金利上昇と重なってリスク資産全般の調整につながるかどうかが重要な変数となる。

長期金利の上昇ペースは市場予想を上回っている。日銀が8月に実施した債券市場調査では、回答者は9月末の20年国債利回りについて、中央値で3.70%、上位25%の水準で3.75%を見込んでいた。今回の平均落札利回り3.856%はこれを上回る。調査の前提は入札結果と単純比較できないが、日本の長期金利が想定以上の速さで見直されていることを示した。

金利上昇に伴う国内金融機関への影響にも関心が集まっている。日銀は4月の金融システム報告で、日本の金融システムは総じて安定し、ストレステストでも耐性を確認したと評価した。その一方で、債券の評価損は拡大しており、信用金庫では相対的に大きな有価証券損失が発生し得るとも指摘している。

市場の視線は、17日から18日にかけて開かれる日銀の金融政策決定会合に向かっている。暗号資産市場でも、今回の入札そのものより、日銀の政策判断とそれに伴う円相場の変動が今後のリスク資産にどのような影響を及ぼすかが焦点となる。

とりわけ、長期金利上昇に続いて円高が進み、株式と暗号資産が同時安となる場合には、円キャリー取引の巻き戻しに対する警戒感が一段と強まる可能性がある。逆に、今回の入札のように国債需要が保たれ、円相場やリスク資産市場の変動も限定的にとどまるなら、長期金利の上昇だけで市場ショックが広がったとは言いにくい。

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