写真=Reve AI。Clarity Actの審議入りに向けた上院採決は否決された

米上院は、暗号資産市場の制度設計を定める「Clarity Act」の本会議審議入りに向けた採決を否決した。暗号資産を証券と商品にどう区分し、どの当局が監督するかを明確にする法案だったが、審議入り前の段階で足踏みを強いられた。

15日付のU.Todayによると、Clarity Actを巡る討論終結動議の採決は賛成50、反対49だった。可決に必要な60票には届かず、法案は次の審議段階に進めなかった。今回の採決は法案そのものの最終可決を決めるものではないが、暗号資産市場の規制枠組みを立法で整える動きにはブレーキがかかった格好だ。

上院では共和党が53議席を握るものの、法案を前進させるには民主党の協力が欠かせなかった。だが民主党はそろって反対に回り、共和党からも離反が出たため、必要票を確保できなかった。業界側は上院で十分な支持を得られるとの見方を示していたが、結果はそれを裏切った。

Clarity Actの柱は、暗号資産を「デジタル商品」と「デジタル証券」に区分し、それぞれの監督当局を分ける点にある。ブロックチェーンネットワークの利用や運営に主な価値が結び付く資産はデジタル商品、投資契約や中央集権的な開発・統制に関わる資産はデジタル証券と位置付ける。前者は米商品先物取引委員会(CFTC)、後者は米証券取引委員会(SEC)が所管する枠組みだ。

上院での協議は、8月の休会前から難航していた。民主党は、連邦公職者による暗号資産との関わりをより厳しく制限すべきだと主張し、とりわけドナルド・トランプ米大統領一族の暗号資産関連事業と金銭的利害関係が主要な争点に浮上した。

これを受け、共和党上院指導部は13日と14日、民主党の要求を反映した大幅な修正案を示した。635ページに及ぶ代替法案には、一部の連邦公職者や判事、その配偶者に対し、保有する暗号資産の売却、またはブラインドトラストへの移管を求める条項を盛り込んだほか、特定トークンの発行や支援も制限する内容が含まれた。

修正案にはさらに、司法省と州検事総長に関連条項の執行権限を与える規定も盛り込まれた。州検事総長による違反追及の権限は、民主党が交渉過程で求めていた項目の一つだった。共和党は週末に修正案を提示し、民主党の懸念解消を図ったが、なお残っていた反対論を覆すには至らなかった。民主党は採決直前まで、共和党の交渉チームが大統領の暗号資産事業による収益を巡る倫理基準の強化要求を十分に受け入れていないと不満を示していた。

今回の否決で、米議会が連邦レベルで明確な規制枠組みを整備できるかどうかは、当面見通せなくなった。とくに、SECとCFTCの責任分担を法律で明確にしようとする試みは、再び不透明感を強めている。業界団体などはここ数カ月、超党派の支持獲得に向けてロビー活動を続けてきたが、今回の採決結果は、直近の妥協案でも正式審議に入るだけの支持を固められなかったことを示した。

一方で、銀行業界の懸念もなお残る。銀行団体は、ステーブルコインや利回り型商品を提供する暗号資産プラットフォームに関する条項が既存の預金商品と競合し、銀行融資の原資となる預金基盤を弱める恐れがあると主張してきた。これに対し、暗号資産業界とホワイトハウスは、そうした懸念を受け入れなかった。

市場では短期的に失望売りが広がった。ロイターによると、法案否決の可能性が高まる過程で、ビットコインは5%超下落し、CoinbaseとCircleの株価も取引時間中に一時10%安となった。もっとも、今回の採決は暗号資産の取引や発行を直接制限する措置ではない。このため価格下落の主因は、法案否決そのものというより、規制の不確実性が長期化しかねないとの懸念にあるとみられる。

中長期的には、取引所やトークン発行体、機関投資家が、明確な法的基準を欠いたまま事業を継続しなければならない負担が増す公算が大きい。議会が法律で監督体制を確定できなければ、暗号資産が証券か商品かの線引きや規制権限の範囲は、引き続きSECとCFTCの解釈に左右される。規制当局の判断は政権の政策方針によって変わり得るうえ、法的紛争の火種にもなり得るため、関連企業の商品投入や投資判断を縛る要因となる可能性がある。

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