米国では電気自動車(EV)販売の伸びが鈍化する一方で、消費者の購入意欲はむしろ高まっていることが分かった。充電インフラの拡充に加え、航続距離や充電速度の改善が、EV購入へのハードルを下げているとみられる。
InsideEVsとHERE Technologiesが公表した「HERE-SBD EVインデックス2026」によると、米国のドライバーの53%が「1年前と比べてEV購入に前向きになった」と回答した。調査は2026年6〜7月に、米国、欧州、インド、オーストラリアのドライバー約4000人を対象に実施した。
一方で、実際の販売動向と消費者マインドには開きもみられる。自動車革新連合の資料では、今年の米国におけるEVの新車市場シェアは5.37%と、前年通年の水準を約3ポイント下回った。
ただ、EVを所有していない回答者のうち、次に買う車としてガソリン車を選ぶとした割合は前年より10%減少した。価格と仕様が同じならEVを選ぶとの回答は8%増え、EVへの移行にハードルを感じないとした割合も、前年の6%から今年は12%に上昇した。
こうした意識改善の背景には、充電環境の変化がある。回答者の57%は、ガソリン価格がEVへの関心に影響したと答えた。
EVをより前向きに検討する理由としては、航続距離や充電速度の改善を挙げた人が35%で最も多く、充電インフラの改善が31%、自宅や職場での充電環境へのアクセス向上が29%で続いた。公共充電設備が十分だとみる前向きな認識も、前年の28%から47%へ上昇した。
米国では、前回調査以降に公共充電ポイントが3万1600基増加し、総充電出力も14.1GWから20.7GWへ47%拡大した。EV保有者の77%は、次の買い替え時にも再びEVを選ぶ可能性が高いと答えた。
地域差は依然として大きい。EVインデックスの上位地域は、デラウェア、ワシントンD.C.、ニュージャージー、マサチューセッツ、コネティカットの順だった。
改善幅が大きかったのはアラスカ、オクラホマ、ユタ。一方、アイオワ、ワシントン、サウスダコタは、充電インフラの整備がEV普及のペースに追い付かず、順位を大きく落とした。
SBD Automotiveのシニア・コンサルティング・マネジャー、ロバート・フィッシャー氏は「充電インフラへの継続的な投資が、消費者の信頼拡大につながり始めている」と分析した。販売が足踏みする一方で、EV購入に対する心理的なハードルは着実に下がっていることが浮き彫りになった。