Teslaのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は、Cybertruckの量産における最大の難所は製造ラインにあるとの認識を示した。試作機を作る段階と違い、量産では品質管理や公差の厳格化に加え、サプライチェーンの整備や採算の確保まで求められると説明している。
10日付のITメディアTechRadarによると、マスク氏はジョー・ローガン氏のポッドキャストに出演し、「製造ラインは本質的に試作より数千倍難しい」と述べた。
この発言は、TeslaがCybertruckを試作段階から納車段階へ移行する過程で直面した課題を説明する中で出たものだ。ローガン氏が納車までどの程度かかるのかを尋ねると、マスク氏は当時、「約1カ月」と答えた。
Cybertruckは2019年11月に初公開された。実際の量産まで時間を要した背景についてマスク氏は、一定の品質を保ちながら継続的に生産するうえで、製造面のハードルが高かったと説明した。
マスク氏によれば、試作と量産はまったく別の課題だ。試作ではまず動くものを作ることが重視される一方、量産では同じ製品を繰り返し、安定した品質で生産し続けなければならない。そのため、公差の管理は一段と厳しくなり、材料や部品を安定調達できるサプライチェーンの整備も不可欠になるという。
さらに、量産ではコスト管理も重要になる。1台当たりの製造コストを販売価格の範囲内に収める必要があるほか、その価格を顧客が受け入れるかどうかも見極めなければならない。製品を形にすることと、事業として成立させることは別の問題だというのがマスク氏の認識だ。
マスク氏が生産の難しさに言及したのは今回が初めてではない。過去にも生産拡大の局面で「生産地獄」という表現を繰り返し使ってきた。特に2017~2018年には、未来型の自動化工場「エイリアン・ドレッドノート」への移行を進めたものの、ロボット中心の生産システムがかえって製造スピードを落とし、納車スケジュールに影響した。
Cybertruckの事例は、試作で製品を成立させることと、実際の工場で安定的に大量生産することが別の課題である点をあらためて示した格好だ。試作段階で許容される公差や生産方式を量産にそのまま持ち込むのは難しく、品質を維持しながら生産規模を拡大するには、サプライチェーンと生産工程の両面を安定させる必要がある。
今回の発言は、Cybertruckの量産でTeslaが経験した苦労を示すと同時に、試作から本格量産へ移るプロセスの複雑さを物語っている。