米海軍は、最大30日間の無人運用を想定する無人水上艦向けに、Rolls-Royce製の海洋用MTUエンジンを承認した。長期の自律任務に対応できる推進システムの選択肢を広げる動きとなる。
TechRadarが10日(現地時間)に報じたところによると、承認対象はRolls-Royceの「MTUシリーズ4000」と「MTUシリーズ2000」。米海軍が無人水上艦の運用拡大を進める中で、乗員を伴わない長期任務に必要な推進基盤として認証を受けた。
米海軍は、乗員を危険にさらさない任務で無人水上艦の活用を進めている。このため、日常的な整備や修理を伴わず、長時間の運用に耐えられる推進システムの確保が重要な要件になっている。
MTUシリーズ4000は、承認前に各720時間の耐久評価を2回実施した。推進用途で最大4300キロワット、艦内電源用には最大3000キロワットを供給できるという。MTUシリーズ2000は部品点検と運用試験を経て承認され、推進出力は最大1939キロワットとされた。
今回の承認により、両シリーズは米海軍の長期任務向け無人艦艇に搭載可能となった。人員を乗せない状態で長期間運用する艦艇への適用を前提としている点が特徴だ。
認証は、米国の国防授権法に基づく要件を反映して実施された。自律型軍事プラットフォームに搭載する装備に求められる条件に沿って、適合性を確認したとしている。
すでに実運用の事例もある。米海軍は、Rolls-Royceが供給したMTU 12V 2000エンジン2基を搭載する「シーハンター」など、無人艦艇の配備を進めている。今回の認証は、既存の無人艦艇戦力に対応する推進オプションを広げる措置ともいえる。
Rolls-Royce Power Systemsの北米政府営業担当バイスプレジデント、スコット・ハンソン氏は「MTUエンジンは数十年にわたり、海上で乗員に信頼性の高い、任務に即応できる動力を提供してきた」と述べた。Rolls-Royceは、新たな自律任務の環境では耐久性と継続運用能力が一段と重要になるとしている。
米海軍にとっては、今回の承認によって、乗員なしで長期間海上にとどまる無人水上艦の運用余地が広がることになる。こうした艦艇は、有人艦で必要となる居住区画や支援システム、安全対策の負担を抑えつつ、長時間の海上任務に投入できる。Rolls-Royceも、今回の認証が無人艦艇を艦隊計画に組み込もうとする米海軍に追加の選択肢を提供すると説明した。
もっとも、今回の認証がすべての無人艦艇で30日間の連続運用を保証するわけではない。実際の運用期間は、艦艇の設計、航行速度、気象条件、搭載機器、燃料容量、任務要件、整備の必要性などによって変動する。今回米海軍が確保したのは、あらゆる条件で同一性能を保証するものではなく、長時間の無人作戦を前提とした認証済みの推進オプションだ。
無人艦艇の運用拡大では、エンジンの信頼性が引き続き重要な要素となる。支援拠点から離れた海域で故障が発生すれば、任務遂行に直接影響しかねないためだ。Rolls-Royceはこのほか、MQ-4Cトライトン、MQ-25Aスティングレイ、米空軍のRQ-4グローバルホークといった無人航空機向けにも推進装備を供給している。今回の承認は、同社と米軍の既存関係を海上の自律作戦分野へ広げる事例とも位置付けられる。