Ark Investは、ステーブルコイン市場で時価総額の上位集中が鮮明になっているとの見方を示した。ロレンツォ・バレンテ氏によると、時価総額が100億ドルを超える銘柄はTetherとCircleの2銘柄に限られ、規模が大きいほど有利に働くネットワーク効果が寡占化を後押ししているという。
11日付のCoinPost報道によれば、Ark Investのデジタル資産部門でリサーチディレクターを務めるロレンツォ・バレンテ氏は、ステーブルコインの時価総額分布をまとめたチャートを公開した。時価総額の水準が上がるほど、該当する銘柄数が急速に減る構図が浮き彫りになったとしている。
バレンテ氏は、ステーブルコインを「規模が大きいほど有利な資産」と位置付けた。その上で、時価総額のハードルが上がるにつれて残る銘柄は急減し、強いネットワーク効果が働いていると説明した。
現在、時価総額が100億ドル(約1兆5000億円)を超えるステーブルコインは、TetherとCircleの2銘柄のみという。さらに上の1000億ドル(約15兆円)規模や5000億ドル(約75兆円)規模でも、同様の集中が続く可能性があるとの見方を示した。
足元の市場規模もこの分析を裏付ける。記事が引用したDeFiLlamaのデータでは、Tetherの時価総額は約1834億ドル(約27兆5100億円)、Circleが発行するUSDCは約745億ドル(約11兆1750億円)だった。
これに続くステーブルコインの規模は60億ドル(約9000億円)台にとどまっており、100億ドル超の層が実質的に2銘柄体制となっている状況とおおむね整合する。
バレンテ氏によれば、100億ドル超の層は2022年前後に一時4銘柄まで増えたが、その後は減少が続いた。現在はTetherとCircleだけが残っており、上位層への参入が一段と難しくなっていることを示している。
より下位のレンジでも増加ペースは限定的だった。Ark Investのチャートでは、時価総額が10億ドル(約1500億円)を超えるステーブルコインは2021年時点で一桁にとどまっていたが、2026年でも12銘柄前後に増えた程度だった。
バレンテ氏は、この構造について「上位クラブほど新規参入が難しくなる」ことを示すものだとみている。
背景として挙げたのは、流動性と接続先の広がりだ。ステーブルコインは、取引所やDeFiプロトコルとの連携先の数、流動性の厚さ、規制対応の実績といった面で、規模が大きいほど優位に立ちやすい。
その結果、時価総額の大きい銘柄ほど用途と資金を呼び込みやすく、後発組は同水準のネットワークを構築しにくくなる構図だという。
今後の競争環境についても、バレンテ氏は上位集中が続く可能性を示した。1000億ドル規模の層は現時点でTetherのみが到達しているが、長期的にはCircleがこれに加わり、2社による競争構図が形成される可能性があるとした。もっとも、この点は公開チャートの集計範囲外にある将来見通しとして示されたものだ。
一方、5000億ドル規模については、Tetherの優位がより長く続く可能性があるとした。「5000億ドル規模では当面、Tetherの1強構図が続き得る」とし、この構図が2年以上続く可能性にも言及した。TetherとCircle以外のステーブルコインが短期間でこの規模に達するのは容易ではないとの判断だ。
こうした見方は、ステーブルコイン市場が単に銘柄数を増やす段階から、大手発行体を軸に再編が進む段階に入ったかを見極める一つの指標ともいえる。今後の焦点は、新規発行体の数そのものよりも、TetherとCircleが1000億ドル超の層でどこまで差を広げるか、また後発勢が100億ドルの壁を超えられるかに移りそうだ。