AppleがiPhoneの投入スケジュールを見直した。今秋の新製品イベントではiPhone 18の標準モデルを発表せず、Pro系モデルと折りたたみ端末を先行投入した。標準モデルは春に回す方針で、秋に上位機種、春に標準機を配置する新たな販売戦略へ転換した格好だ。
米CNBCが9日(現地時間)に報じたところによると、Appleは製品発表イベントで、「iPhone 18 Pro」「iPhone 18 Pro Max」に加え、初の折りたたみ端末「iPhone Duo」を公開した。一方で、iPhone 18の標準モデルはラインアップに含まれなかった。
市場では、新製品そのものよりも投入スケジュールの変更に注目が集まった。ここ数カ月、Appleが標準モデルを春へ移し、秋は上位モデルを先行投入する案を検討しているとの見方が業界内で広がっていた。Appleはこれまでも春に、iPhone SEやiPhone 16eといった比較的低価格なモデルを発表してきた経緯がある。
今回のイベントで最も安価な新型iPhoneはiPhone 18 Proだった。米国での価格は1199ドルからで、前世代から100ドル引き上げた。イベント前に799ドルだったiPhone 17も、イベント後は899ドルとなった。
Appleは6月、メモリなど部品の世界的な供給不足への対応として、MacとiPadも値上げしている。当時、ティム・クック前CEOはこうした供給制約について「持続可能ではない」と述べていた。
発売時期の分散には、業績の季節偏重を和らげる狙いもあるとみられる。Appleは例年、iPhone販売の寄与が本格化し、年末商戦の需要も重なる会計年度第1四半期に売上高が集中する一方、その後の2四半期は相対的に伸びが鈍る傾向があった。
IDCのフランシスコ・ジェロニモ副社長は、年末に集中するiPhoneの販売構造について、第2四半期に入ると販売が大きく落ち込むと指摘。その上で、投入時期を分けることで通期売上の平準化に一定の効果が見込めるとの見方を示した。
Appleは過去10年以上にわたり、標準モデルとProラインを同じ秋のイベントで発表してきた。iPhone 11以降は標準モデルと上位のProモデルに区分していたが、発表時期と発売日は基本的に同一だった。
今回の分離戦略は、Proモデルの販売比率が高まっている流れとも重なる。IDCの推計では、2026年上半期のiPhone販売に占める「iPhone 17 Pro」と「iPhone 17 Pro Max」の比率は54%に達した。標準モデルのiPhone 17は26%だった。
もっとも、価格に敏感な消費者が買い替えを先送りする可能性は残る。Bank of Americaのアナリスト、ワムシ・モハン氏は、発売時期の分離が製品ミックスと平均販売単価の押し上げにつながる可能性があるとする一方、低価格モデルの投入まで機種変更を遅らせるリスクもあるとみている。
サプライチェーンの負担軽減も見逃せない。Counterpoint Researchのニール・シャー副社長は、新型4モデルを一斉投入するのではなく、まず2モデルを先行させれば部品確保の負担を大きく抑えられると指摘した。高止まりするメモリ価格も、iPhoneの同時投入を難しくしていると分析している。
Appleはイベント終盤、初の折りたたみ端末となるiPhone Duoも披露した。価格は1999ドルから。Appleはこの製品に合わせて、iPhone向けOS全体を見直したとしている。
ソフトウェアエンジニアリング担当シニアバイスプレジデントのクレイグ・フェデリギ氏は、2つの画面に合わせてボタン配置や操作体系を再設計したと説明した。2つのアプリを同時に使うマルチタスクに対応し、Apple Pencilも利用できるという。
ジョン・ターナス氏は、より大きな画面がユーザー体験に新たな可能性をもたらすとした上で、それを実現する最適な形が折りたたみデザインだと述べた。iPhone Duoには、Appleが自社開発した第2世代モデム「C2」を搭載する。
ハードウェア責任者のジョニー・スルージ氏は、C2について、前世代比で通信速度が50%向上し、消費電力は15%低下したと説明した。
今回のイベントは、新製品の発表にとどまらず、Appleの販売戦略転換を印象づける内容となった。高価格帯のPro系を秋に投入し、標準モデルを春に分ける新たなサイクルが定着すれば、売上構成やサプライチェーン運営にも影響を及ぼす可能性がある。