iPhone Duo 写真=Apple

Appleが初の折りたたみスマートフォン「iPhone Duo」を公開し、中国市場でも早くも関心を集めている。完成度への初期評価はおおむね高いが、1万5999元という価格設定と、物理SIMを廃したeSIM専用設計が、中国での普及を左右するポイントになりそうだ。

香港紙サウス・チャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)が10日付で報じたところによると、Appleは9日、同社初の折りたたみスマートフォンとなるiPhone Duoを発表した。Apple史上最も薄く、最も高価なフラッグシップ機と位置付けられ、折りたたんだ状態と開いた状態をまたいで自然に使える操作体験を打ち出している。

中国の消費者の反応も速かった。10日午前には、中国のSNS「Weibo」でiPhone Duo関連のハッシュタグが検索ランキング2位まで上昇した。

製品の初期評価では、ソフトウェアとユーザー体験を評価する声が目立つ。フォロワー160万人を抱える技術ブロガーのウェイ・ブーシーは、端末を閉じた状態から開いた状態へ切り替えても、従来のiPhoneに近い使い勝手が自然に続くと指摘した。単純にiPad向けの操作体系を折りたたみ端末に移したような仕上がりではない、という見方だ。ゲーム・テクノロジー分野の評論家ワン・ウェイチェンも、使いやすいインターフェースを長所に挙げた。

一方、中国市場では通信方式が障壁になり得るとの見方も出ている。iPhone Duoは物理SIMトレイをなくし、デュアルeSIMのみをサポートする仕様だ。中国本土では、eSIMの開通や機種変更時の移行にあたり、店舗への来店や対面での本人確認が必要になる場合があり、利用者の負担が増す可能性がある。ワン・ウェイチェンは、物理SIMに対応しない点が「多くの購入希望者を遠ざける可能性がある」と指摘した。

価格面も重荷になり得る。技術インフルエンサーのテクノロジー・シャオナイによると、iPhone Duoの256GBモデルの中国価格は1万5999元。Huaweiの「Pura X Max」とXiaomiの「Xiaomi 18 Fold」の開始価格である1万999元、Samsung Electronicsの「Galaxy Z Fold8」の開始価格1万2999元を上回る。ただ、Huaweiが8日に公開したプレミアムのトライフォールド端末「Mate XT 2」の開始価格1万9999元よりは低い。

市場では、この価格設定を強気と受け止める見方もある。Counterpoint Researchの副ディレクター、リズ・リー氏は、メモリコストが上昇する局面でのこの価格設定を大胆な動きと評価した。Samsung Electronicsの主力折りたたみ機とのグローバルでの価格差が約100ドルにとどまっている点も挙げた。供給が想定を下回れば、発売初期の待機需要がかえって膨らむ可能性もあるとみている。

Appleの折りたたみ端末参入への期待は、部品メーカーの株価にも波及した。精密ヒンジ部品や画面支持板、超薄型の放熱部材などを供給するリングイアイテックの株価は10日午前、香港市場と深セン市場で5%超上昇した。

投入のタイミングも注目される。今週の中国市場では、HuaweiとXiaomiが相次いで新型の折りたたみ端末を公開しており、競争は一段と激しくなっている。特にHuaweiは中国の折りたたみ市場で約79%のシェアを握っており、Appleにとって手ごわい相手だ。

IDCのグローバルクライアントデバイス部門でバイスプレジデントを務めるフランシスコ・ジェロニモ氏は、中国がiPhone Duoにとって最も難しい市場になる可能性が高いとの見方を示した。一方で、Appleの参入そのものが、中国の消費者に既存製品とは異なる選択肢を提示する強いきっかけになり得るとも指摘。デザインや耐久性、ソフトウェア活用で十分な差別化ができれば、販売額ベースで中国の折りたたみ市場首位に立つ可能性もあると述べた。

一部用途を意識した仕様も盛り込んだ。ゴールドマン・サックスのアレン・チャン氏らの調査チームは、iPhone DuoがApple Pencilに対応する点に注目している。Samsung Electronicsが最新のGalaxy Z FoldシリーズでSペン対応を外した点とは対照的だという。

もっとも、折りたたみスマホ市場の規模自体は、スマートフォン市場全体から見ればまだ小さい。Counterpoint Researchによると、折りたたみスマホが全体に占める比率は約2%にとどまる。

それでも、Appleの参入で市場の位置付けが変わる可能性がある。Counterpoint Researchのリサーチバイスプレジデント、ニール・シャー氏は、Appleの参入によって折りたたみ端末が一気に注目カテゴリーへ押し上げられたと評価した。同社は、Appleが今年iPhone Duoを最大600万台出荷すると予測。これを踏まえ、Appleは今年の世界の折りたたみ市場で約25%のシェアを獲得し、Samsung Electronics(38%)に次ぐ2位となり、Huawei(22%)を上回ると見込んでいる。

中国でiPhone Duoが成功するかどうかは、製品の完成度だけでは決まらない。価格とeSIM専用設計という2つの条件を、市場がどこまで受け入れるかが焦点となる。Huaweiの高い市場支配力に加え、Xiaomiも新製品攻勢を強めるなか、Appleがこうした弱点をどこまで補えるかが問われる。

キーワード

#Apple #iPhone Duo #折りたたみスマホ #中国市場 #eSIM #Huawei #Xiaomi #Samsung Electronics #Counterpoint Research #IDC
Copyright © DigitalToday. All rights reserved. Unauthorized reproduction and redistribution are prohibited.