DeepSeekの新モデル「V4.1 Flash」が、実務に近いデザイン作業を評価するベンチマークで、OpenAIの「GPT-6 Astra」に迫る性能を示した。コストは大幅に低く、1件当たりではAstraの約1.4%に抑えた。
10日付のDecryptoなどの報道によると、OpenDesign Arenaの評価でV4.1 Flashは100点満点中81.2点を獲得した。GPT-6 Astraは82.7点で、その差は1.5点にとどまった。V4.1 Flashのスコアは、Astraに対して約98%の水準となる。
コスト面の差はさらに大きい。完成デザイン1件当たりのコストは、GPT-6 Astraが1.61ドルだったのに対し、V4.1 Flashは0.023ドルだった。Astra比では約1.4%に相当する。
処理速度でもV4.1 Flashが上回った。平均処理時間はGPT-6 Astraが11.1分、V4.1 Flashが5.3分で、ほぼ半分に短縮した。
比較は、OpenDesign Arenaが13種類のAIモデルに同一のデザイン課題を与えて実施した。対象にはAnthropicの「Claude Fable 5.1」、Grok 4.6、Qwen 3.8-Maxなどが含まれる。
今回の評価でV4.1 Flashを上回ったのはGPT-6 Astraのみだった。残る11モデルはV4.1 Flashをスコアで下回り、コストでも上回った。
OpenDesign Arenaは、日常的なデザイン業務を想定してモデルを評価するベンチマークだ。Webアプリ、ダッシュボード、モバイル画面、ランディングページの制作課題を100点満点で採点し、このうち30点を要件充足、70点をレイアウトや情報階層、配色、スタイル適合性などに配分している。
評価の焦点は、一般的な推論力やコーディング能力そのものではなく、実際のデザイン業務で安定して成果物を生成できるかどうかにある。
Claude Fable 5.1のスコアは80.3点だった。平均処理時間は12.8分、1件当たりのコストは3.66ドル。V4.1 Flashはスコアで大差を付けず、速度とコストで優位に立った。
DeepSeekは、こうしたコスト効率の背景として新たなモデル構造を示した。技術文書によると、V4.1 Flashは総パラメーター数5520億のMoEモデルで、入力処理時に有効化されるのは80億パラメーター、出力生成時は160億パラメーターだという。
DeepSeekはこの構造を「因果的エンコーダー・デコーダー」と説明している。入力と出力で有効化するパラメーター規模を分ける設計により、コスト効率を高めたとしている。
もっとも、今回の評価にも限界はある。OpenDesign Arenaの試験では、成果物が実際に動作するWebページとしてレンダリングされなければ採点対象にならない。
空白画面の表示やレイアウト崩れ、出力途中での中断が起きた場合は0点とし、再試験も行わない。そのため、このベンチマークは汎用的な推論力やコーディング性能よりも、日常的なデザイン成果物をどれだけ安定して生成できるかを測る性格が強い。
OpenAIが9月3日に公開したGPT-6 Astraは、コンピュータ利用、ソフトウェアエンジニアリング、サイバーセキュリティ、科学分野や専門業務など幅広い用途を想定したモデルだ。今回のデザインベンチマークでも最高点を記録したが、速度とコストではV4.1 Flashに及ばなかった。
完成後に追加修正なしでそのまま引き渡せると判断された比率でも、大きな差はなかった。V4.1 Flashは57.7%、GPT-6 Astraは60.0%、Claude Fable 5.1は56.7%だった。
DeepSeekは足元で、低コストを前面に打ち出しながら競合モデルとの差を縮める戦略を続けている。V4 Proも別のベンチマークでClaude Fable 5との差が5%前後にとどまり、価格面でも優位だったとされる。
一方、この比較は複数のベンチマーク結果を総合したものであり、評価手法によって差が生じる余地はある。
DeepSeekは5月、北京でCode Harness開発に向け、プロダクトマネジャーと研究開発エンジニアの募集も行った。モデル開発に加え、コードエージェントや開発者向け実行環境へと領域を広げる動きとみられる。
DeepSeekはV4.1 Flashについて、ネイティブの視覚理解を備えた新アーキテクチャ群の最小モデルであり、より高い性能、より高速な推論、高いスループット、将来的な大規模モデルへの拡張性を志向したと紹介している。