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AIインフラ投資の焦点が、半導体やサーバーの確保から電力調達へ移っている。AIが実証段階を超えて大規模運用に入る中、データセンターをどれだけ早く建設できるかに加え、必要な時期に安定した電力を確保できるかが事業の成否を左右しつつある。

米TechRadarが10日付の報道で伝えたところによると、AIデータセンターは従来の商業施設や産業施設を大きく上回る規模へ拡大しており、電力供給力が立地選定や稼働時期、投資回収の見通しを左右する主要要因として浮上している。

AIデータセンターは、特定地域で膨大な電力を集中的に消費するうえ、電力供給の停止を事実上許容しにくい。総発電量が足りているかどうかだけでなく、必要な場所で必要な時に確実に使える電力を確保できるかが重要になっている。

こうした中、天然ガスの役割にも注目が集まっている。太陽光や風力のように天候で出力が変動する電源と異なり、天然ガスは24時間の安定供給が可能で、大規模なAIワークロードを支える電源として期待されている。

PwCのシナリオ分析によると、AI関連の天然ガス需要は、最も保守的なケースでも2030年に日量52億立方フィートに達する見通しだ。足元の日量約16億立方フィートから大幅な増加となる。2035年には日量76億〜115億立方フィートまで拡大する可能性もある。

もっとも、天然ガスを確保しただけで、データセンターで直ちに使える電力が生まれるわけではない。ガスを発電に回すには、生産設備からパイプライン、貯蔵施設、圧力維持設備、発電設備まで複数段階のインフラが必要になる。AIデータセンターを巡る電力問題は、単なる発電量の不足ではなく、需要地まで電力を届けられるかへと課題の中心が移っている。

データセンター開発では、許認可の取得やパイプラインの通行権、送電網への接続、発電用タービン、用水、熟練人材の確保も主要なボトルネックとして挙がる。AI企業やデータセンター開発会社が数百億ドルを投じても、必要なインフラを短期間で増強するには限界があるためだ。

こうした事情を受け、データセンター立地の選定基準も変わり始めている。従来は用地や通信網、送電網へのアクセスが主な検討材料だったが、現在は計画したスケジュール内に安定したエネルギーを実際に確保できるかを、初期段階から精査する必要があるという。

既設パイプラインや許認可を得たルート、貯蔵施設、すぐに稼働できる発電容量の価値は今後高まる可能性がある。長期的に安価な電源を確保すること以上に、当面使えるエネルギーインフラを押さえられるかが、データセンター開発のスピードを左右し得る。

電力確保の新たな手法も出始めている。代表例とされる「ビハインド・ザ・メーター型発電」は、データセンターが送電網への接続だけに頼らず、現地または近隣に天然ガス発電設備を設け、必要な電力を直接供給する仕組みだ。

PwCは、2035年までにAI関連の天然ガス需要の30%超がこうした方式で賄われる可能性があると試算した。専用のパイプライン支線と発電設備を併設する方式や、天然ガスの供給・輸送・貯蔵・発電とデータセンター負荷を一体のシステムとして結ぶ方式も代替案に挙がっている。

AIインフラの拡張では、従来とは異なる協業体制も求められる。ハイパースケーラーやデータセンター開発会社だけでなく、公益事業者、天然ガス供給会社、パイプライン運営会社が一体となって動く必要があるという。

各事業者が自社の領域だけを最適化するやり方では、AIデータセンターに求められるスピードに対応しにくい。ガス供給から輸送、発電、電力供給、最終的なデータセンター稼働までを一つのプロジェクトとして調整すべきだとした。

TechRadarは、AIは技術革新であると同時に、急速に物理インフラの問題へと姿を変えつつあると指摘した。今後のAI産業では、高性能なチップやサーバーの確保だけでなく、必要な電力をどれだけ早く確保して稼働につなげられるかが、収益化の時期を左右する重要な変数になるとみられる。

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