写真=マティ・スタニシェフスキ氏(ElevenLabs CEO)

ElevenLabsは、エンタープライズAI市場でFDE(Forward Deployed Engineer)の活用が広がる中、その役割を営業組織ではなくプロダクト組織の中に置くべきだとの考えを示している。顧客ごとの課題解決で得た知見を製品に反映し、次の顧客にも展開できる形にすることが重要だという。

こうした考えは、ElevenLabsの共同創業者兼CEOであるマティ・スタニシェフスキ氏が、起業家へのインタビューで知られるポッドキャスト「Founders」で、デイビッド・センラ氏との対談の中で語ったものだ。

スタニシェフスキ氏によると、FDE組織を持つ企業が増えているが、ElevenLabsではFDEを営業ではなくプロダクト組織に所属させている。顧客現場で得た知見を製品ロードマップに反映する役割を担うためだ。

同氏は、FDEの役割として大きく2点を挙げた。第1は、顧客が直面する課題を現場で解決し、その過程で製品の対応領域を広げること。第2は、そこで得た知識や学びを製品開発に持ち帰ることだ。

同氏は、「製品は次の世代の顧客に対して、さらに良くなっていなければならない。しかし、この点を見落とす企業は多い」と指摘した。その上で、「FDEが難しい統合作業を担い、課題解決まで請け負う企業は多いが、そこで得た専門性を製品に戻さなければ、結局はサービス業にとどまってしまう」と述べた。

また、試行錯誤の中で得た知見は、ほかの顧客企業にも横展開できるとの認識を示した。

同氏は「単純なケースであれば、統合機能を1つ実装し、すべての顧客が使えるようにすればよい」と説明した。一方で、ヘルスケアのような分野では、さらに踏み込んだ最適化が必要だとする。「一度導入した後、そのドメインに合わせて製品体験をあらかじめ最適化しておけば、同じ業界の次の顧客に対応する際、ゼロから作り直す必要がなくなる」という。

さらに、顧客基盤をR&Dの手段として活用しているのではないかとの問いに対しては、「その通りだ」と答えた。「特定ドメインへの理解が深まるほど、R&Dのスピードそのものが上がる。ある企業が抱える問題が、その企業だけに固有であるケースは非常にまれだ」と語った。

スタニシェフスキ氏は、こうした構造は顧客を含む関係者すべてに利益をもたらすと強調する。「ある顧客との取り組みで学んだことを製品体験に反映し、別の顧客から得た学びも同様に反映することで、双方がより良くなった製品の恩恵を受けられる」と述べた。

その上で、「ドメイン専門性そのものは依然として顧客企業の資産だ」と説明した。顧客は自社のドメイン専門性を競争力として維持しつつ、その知見を基に構築した製品体験については抽象化し、再利用可能な形にできるとの考えを示した。

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