写真=OpenAI。米ジョージア州ジョーンズボロで開かれたK-12教員向けプログラム。

生成AIが学生の学習ツールとして急速に浸透する中、大学教育では「使うかどうか」ではなく、「どう使い、どう検証するか」が問われ始めている。OpenAIが紹介したBocconi大学の実験では、ChatGPTの活用が課題評価を大きく押し上げる一方、因果推論の訓練はアイデアの多様性や説明力の向上に効果を示した。

OpenAIが11日に公表した教育分野の資料によると、イタリアのBocconi大学の研究チームは、OpenAI Economic Researchと共同で、経済・経営・金融を専攻する学部1年生1053人を対象に無作為実験を実施した。ChatGPTの利用と因果推論訓練が学習成果に与える影響を比較した。

学生は、授業時間中にChatGPT Edu(GPT-4o)を利用する群、因果推論の訓練を受ける群、その両方を受ける群、いずれも受けない群の4つに無作為に割り付けられた。

その結果、ChatGPTを利用した学生は、5点満点で評価した課題で対照群を約0.86点上回った。挙げたアイデアの数も多く、論理的な一貫性や、専門家の推奨内容との近さでも高い評価を得た。

一方、因果推論の訓練では異なる効果が確認された。課題の総合評価を押し上げるまでには至らなかったが、より多様で相互に重複しにくいアイデアの創出に寄与した。自ら提案した施策について、なぜ有効なのか、あるいはなぜ失敗し得るのかを説明する力も高まった。

特に、ChatGPTの利用と因果推論訓練の両方を受けた群では、それぞれの効果が同時に表れた。AI活用が成果物の完成度を高める一方で、別途の思考訓練がアイデアの多様性や独創性、推論力を補完する可能性を示した形だ。

大学生の生成AI利用は、すでに急速に一般化している。情報通信政策研究院(KISDI)が韓国メディアパネルのデータを分析したところ、同国の大学・大学院生の生成AI利用率は、2024年の35.9%から昨年は68.0%へ上昇した。1年間で32.1ポイント伸びた計算になる。

OpenAIによると、世界で毎週ChatGPTを利用する18~24歳は2億人を超える。講義で理解しきれなかった概念の確認に加え、講義資料を基にした想定問題やクイズの作成、試験前の弱点把握と復習など、活用範囲も広がっている。

ただ、利用頻度の高さが、そのまま高度な活用を意味するわけではない。OpenAIは、大学生世代の上級ユーザーであっても、ChatGPTの能力を引き出して使いこなす水準は、パワーユーザーと比べて約1~10%にとどまると説明している。

英国の大学でも同様のギャップが見られる。英国の高等教育政策研究所(HEPI)が今年3月に公表した調査では、大学生の94%が、課題や試験など成績評価に関わる場面で生成AIを活用していると答えた。

一方で、AI活用能力を将来の中核スキルと認識している学生は68%に上ったのに対し、教員が将来のキャリアに必要なAI能力の育成を支援していると答えた割合は48%にとどまった。

こうした状況を受け、大学のAI教育は単なる操作方法の指導から、いつAIの支援を受けるべきか、どこまで作業を任せるのか、AIが生成した結果をどう検証するのかまで教える方向へと重心を移している。

ソウル大学は今年、学生、教員、職員ら約4万7000人の全構成員にChatGPT Eduを提供した。OpenAIは先月、ChatGPT Eduなど大学が管理する環境で利用できる、大学生向けの教育プラグインも公開している。

学生が自分で選んだ講義資料や文書を基に、個別最適化された学習ガイドやクイズ、フラッシュカード、対話型の視覚教材などを作成できる仕組みだ。

OpenAIによると、ChatGPT Eduを導入した教育機関では、学生が無料版利用者に比べ、分析や計算、学習支援といった用途でより高度な活用パターンを示した。時間の経過とともに、パワーユーザーに近い使い方へ移行する傾向も確認されたという。

OpenAIの関係者は「AIの役割は、学生により速い答えを与えることでも、学習そのものを代替することでもない。学生が自ら学習目標を立て、難しい問題を解決し、AIをより深く活用できるよう支援することにある」とコメントした。

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