XRP Healthcareは事業清算に伴い運営を終了し、発行トークン「XRPH」「XRPHAI」の上場廃止手続きに入った。表向きには長期化する弱気相場と取引所上場の不発が理由とされるが、プロジェクト初期から指摘されていたウォレットの技術的脆弱性と、それに起因する資金流出が事業継続断念の決定打になったとみられる。
ブロックチェーンメディアのU.Todayによると、XRP Healthcareは10日、事業清算は避けられず、プロジェクトの継続は困難だと明らかにした。同社は主因として、弱気相場の長期化と上場推進の不発を挙げている。
同社はこの約3年間、ブロックチェーンを基盤とするヘルスケア・エコシステムの構築を進めてきた。今回の決定により、XRPHとXRPHAIの上場廃止手続きも進められる見通しだ。取引終了の時期や出金対応の詳細は、各取引所が個別に定めるとしている。
大きな打撃となったのは、3日に発生した資金流出だ。攻撃者は約4011件のXRPHウォレットから資金を盗み、被害額は約45万2,000ドルに上った。流出した資産には26万7,664XRPのほか、プロジェクト独自トークンも含まれていたという。
その後の調査では、問題はXRP Ledger自体ではなく、XRP Healthcareアプリに実装されたウォレットコード側にあったことが判明した。焦点となったのは、ウォレットのシードフレーズ生成方式だ。低エントロピーのアルゴリズムが使われていたため、攻撃者がオフラインで秘密鍵を再構成できる構造になっていたとされる。
さらに、アプリを逆コンパイルした結果、利用者のシードフレーズがネットワーク経由で送信されていた事実も確認された。XRP Healthcareの経営陣は、ハッキング後になって初めてこの仕様を把握したと説明しており、開発者を全面的に信頼していたため、事前に問題を認識できなかったとしている。
技術面を巡る論争は、元Ripple関連開発者らの公開批判でさらに広がった。マット・ハミルトン、ベット・グース、ハザード・クッキーの3人は6日、今回の崩壊は以前から予見できたものだったと主張した。
XRP Healthcareは、過去には「XRPayNet」の名称でも知られていた。ベット・グースは、同社チームによる支援金申請を過去に自ら却下したことがあると述べ、提出資料には提携を巡る不正確な主張が含まれていたと指摘した。あわせて、ヘルスケア・プラットフォームの構築に独自トークンは不可欠ではなく、ウォレット設計にも専門性を欠く部分があったと批判した。
マット・ハミルトンとハザード・クッキーも、数年前からプロジェクト内部で重大なリスクや不透明な運営慣行を確認していたと主張している。一方で、当時の経営陣はコミュニティからの批判に耳を貸さなかったとしている。
これに対しXRP Healthcareは、こうした批判は不適切だと反論した。ただ、ウォレット構造を巡って提起された具体的な技術的問題については、十分な説明を示せなかった。
今回の運営終了は、単なる市場低迷だけではなく、技術的欠陥と内部管理上の問題が重なった結果とみられている。ハッキング後には、脆弱なコード構造やシードフレーズ管理を巡る問題が相次いで明らかになり、事業の立て直しは事実上困難になった。
今後は、各取引所による上場廃止日程の確定と、利用者向けの出金案内が焦点となる。