画像=Google Gemini

セキュリティ業界で、AIセキュリティの強化にとどまらず、AIガバナンスやコスト管理まで含めて事業領域を広げる動きが目立ってきた。従来の防御中心の役割から、AI活用全体の統制や運用最適化を担う方向へ軸足を移しつつある。

背景には、AIガバナンスの重要性が高まる中、これまでセキュリティを主軸としてこなかった企業まで関連領域に参入していることがある。これに対し、既存のセキュリティ企業も防御機能の提供に加え、AIの統制やリスク管理に踏み込む事例を増やしている。

PRIBIT AIは、セキュリティ企業からAIガバナンス・リスク統制企業へと事業の軸足を移す方針を打ち出した。社名変更に続き、具体的な実行戦略も公表している。

F5も、セキュリティの枠を超えてAIガバナンスとコスト管理まで対象を広げている。F5が発表したAIゲートウェイは、あらゆるAIリクエストに一貫したポリシーを適用し、AIモデルやエージェント、各種ツールへのアクセスを一元管理する統合基盤として機能するという。同社は、大規模なAI運用環境でコスト効率の改善にもつながるとしている。

各社の動きとしては、OpenAI主導のAIベースのサイバーセキュリティ協力網「Daybreak」への参加も広がっている。Samsung SDSは「Daybreak Partner Program」にパイロットパートナーとして参画し、AIベースのサイバーセキュリティ事業を本格的に拡大する方針だ。

B2B向けSECaaS(Security as a Service)を手がけるMonitor Labは、生成AIセキュリティ市場の開拓を加速している。最近では、GenAIセキュリティ機能を部門別・業務別の細かなポリシー設定に対応させ、統制対象を開発者環境まで広げる方向で高度化したとしている。

ATONは、Eastar Jetの役職員向け社内業務システムのアクセス認証向けに、PQCベースのモバイルOTPソリューション「Quantum SafeOTP」を提供する契約を締結した。

MegazoneCloudは、Amazon Web Services(AWS)の「AWS Security Competency」を取得した。

S2Wは、犯罪捜査に特化した自律型AIエージェント「DRI(Deep Research Investigator)」を発表した。

オフェンシブセキュリティを手がけるEnki Whitehatは、KB Kookmin BankにAIベースのWebアプリケーション侵入テスト自動化ソリューション「OFFen AI DAST」を提供した。

Cloudflareは、顧客アプリケーションのソフトウェア脆弱性を検出し、ネットワークエッジで攻撃を防ぐ「脆弱性の検出・対処」のアーリーアクセス提供を開始した。

OpenAIは、オープンウェイトのAIモデルについて、ガードレールが相対的に弱く、ファインチューニングや追加計算を経ることでフロンティアモデルに近いサイバー攻撃能力を持つ可能性があると指摘した。悪用リスクへの備えが必要だと警鐘を鳴らしている。

AIを使った攻撃の拡大を受け、企業ではサイバーセキュリティ予算の増額だけでなく、予算配分の優先順位そのものを見直す動きも出ている。この流れの中で需要が高まる技術がある一方、既存製品の一部では優先度が低下する可能性もある。

被害の対象は人からAIエージェントへ広がるとの見方も出ている。BugcrowdのCEO、デイブ・ゲリー氏は「今後は人ではなく、エージェントがハッキング被害を受ける事例が増える」と述べた。

実際、サイバー攻撃者がマルチエージェントAIフレームワークを使い、6時間以内に認証情報を数千件奪取した事例も報告された。AI起点の脅威が拡大する中、最高情報セキュリティ責任者(CISO)には、現場のセキュリティ運用にとどまらず、経営判断を支える中核的な役割が求められつつある。

キーワード

#AI #AIセキュリティ #AIガバナンス #コスト管理 #SECaaS #PQC #AWS #Cloudflare #OpenAI #CISO
Copyright © DigitalToday. All rights reserved. Unauthorized reproduction and redistribution are prohibited.