ドナルド・トランプ米大統領 写真=米ホワイトハウス

11月3日の米中間選挙を前に、韓国電池大手3社の収益を支える先端製造生産税額控除(AMPC)の維持が再び焦点となっている。EV購入補助金はすでに廃止されており、議会勢力が変わればAMPC見直し論が再燃する可能性があるためだ。北米で大規模生産拠点を展開するLG Energy Solution、Samsung SDI、SK Onは、政策変動に左右されにくい事業構造への転換を急いでいる。

米現地メディアや世論調査機関によると、今回の選挙情勢は共和党に不利な流れとされる。トランプ大統領の支持率は、イラン戦争の長期化や原油高の影響で30%台前半まで低下し、再選大統領としては過去最低水準との見方も出ている。米中間選挙では、1862年以降、与党が議席を増やしたのは41回中3回にとどまる。支持率が50%を下回る再選大統領の政党は、任期6年目の選挙で議席を失う傾向が強い。

議会構成次第で、韓国電池3社の損益見通しも左右される。今回の中間選挙では、上院100議席のうち35議席が改選対象となる。民主党が上下両院のいずれかを奪還すれば、税額控除の追加縮小に向けた立法にはブレーキがかかり、現行のAMPCが維持される可能性が高まる。

一方、共和党が上下両院を維持した場合は、減税財源の確保を目的とした税制改編が再び進む可能性がある。2025年には、下院案でAMPCの終了時期を2031年に前倒しする案が浮上したが、上院での調整を経て現行維持に戻った経緯がある。今回も縮小論が再浮上する余地は残る。

Bloomberg Intelligenceは2024年大統領選を前に、トランプ氏当選時のEV税額控除維持の確率を30%と見積もっていた。実際、購入補助金は廃止へと向かい、選挙結果が支援策の存廃を左右してきた。現行のAMPCにも、中国など「禁止外国団体(PFE)」からの調達比率に関する要件が残る。比率要件は2026年の40%から、2030~2032年には15%へ段階的に厳格化される。

こうした状況を踏まえ、3社は政策支援がなくても稼働率を維持できる体制づくりを共通課題に据える。2026年は、北米拠点の単独運営への移行と、EV向けラインのESS向け転換を並行して進めている。

まず各社は、完成車メーカーとの合弁体制を見直し、単独運営へ移行している。Samsung SDIは先月、General Motors(GM)が保有していたインディアナ州の合弁会社「シナジーセルズ」の持ち分49.99%を買い取り、北米初の単独生産拠点を確保した。LG Energy Solutionは2月、Stellantisとのカナダ合弁会社「ネクストスターエナジー」の持ち分を取得。GMとの合弁であるUltium Cells第3工場の資産も約3兆ウォンで買い取った。SK Onは5月、Fordとの合弁「BlueOval SK」を再編し、テネシー工場を単独運営に切り替えた。

単独運営への移行により、生産の裁量も広がる。従来の合弁体制では、工場稼働率が提携先自動車メーカーの販売実績に左右され、生産ラインの用途変更にも出資構造上の協議が必要だった。単独運営に切り替えれば、EV向けとESS向けのどちらにラインを振り向けるかを自社判断で決められるうえ、米国内生産に伴うAMPCも全額を自社で取り込める。

とくにSK Onは、この効果が業績に表れた。第2四半期利益は分社化後19四半期で最大となったが、Fordの撤退を受けてテネシー工場を単独運営に切り替え、AMPCの寄与が拡大した影響が大きいとされる。SK Onは、単独工場の「SK Battery America」、テネシー工場、現代自動車グループとの合弁工場を合わせ、現地で約100GWhの生産能力を持つ。

増強された生産能力の受け皿として、各社はESS市場の開拓も急いでいる。これまで遊休化リスクがあったEV向け設備を、ESS受注向けの生産基盤に転用する構図だ。北米のリチウムイオンESS出荷量は2026年上半期に75.9GWhとなり、前年同期比83%増えた。AIデータセンター向け需要と電力網需要の拡大が、EV市場の鈍化で空いた需要を埋めつつある。

LG Energy Solutionは既存のEVラインをESS向けに転換し、第2四半期のESS売上高は前年同期比4.6倍に拡大した。年末までに北米のESS生産能力を50GWh超へ引き上げる計画も示している。SK Onは米NeoVolta Powerと、2027年から5年間にわたり計9GWh規模のESS向けリン酸鉄リチウム(LFP)電池を供給することで合意しており、追加協力が成立すれば18GWhに拡大する見通しだ。Samsung SDIも、2025年12月に2兆ウォン、2026年3月に1兆5000億ウォン規模の米国ESS供給契約を結んだのに続き、シナジーセルズ工場にESSラインを設置する方針だ。

既存ラインの転用は、新規投資負担の抑制にもつながる。新工場を建設する代わりに、既存のEVラインを活用できるためだ。LG Energy Solutionは5~6月にGMとの合弁第2工場とHondaとの合弁工場でESS生産ラインを稼働させた。2026年上半期の新規受注額は、ハイパースケーラー向けAIデータセンタープロジェクトを含め3兆ウォンを超えた。SK OnがNeoVolta Power向けに供給する製品も、ジョージア工場で生産する。

もっとも、依然としてAMPCへの依存は重い。第2四半期はLG Energy Solutionが1133億ウォン、Samsung SDIが2038億ウォン、SK Onが8218億ウォンの営業利益を計上し、3社そろって7四半期ぶりの黒字を確保した。

ただ、黒字の相当部分が政策効果に支えられている点は変わらない。LG Energy Solutionの第2四半期実績に反映された北米生産補助金は2410億ウォンで、営業利益を上回った。上半期累計では945億ウォンの営業赤字だった。SK Onも、利益急増の背景には単独運営化によるAMPC寄与の拡大に加え、顧客補償金など一時要因があった。Samsung SDIはAMPCを除いても黒字を維持したが、収益性の改善には支給金や関税還付が反映された。

このため、市場では本格的な収益力の回復は下半期のESS出荷拡大にかかっているとの見方が出ている。税額控除が業績を下支えしている以上、11月の中間選挙後の税制の行方は、3社の損益を左右する変動要因として改めて浮上する見通しだ。業界関係者は「すでにEV補助金の廃止は経験した。支援拡大を期待するよりも、AMPCの早期終了のような最悪の事態だけは避けたいという空気が強い」と話した。

キーワード

#AMPC #米中間選挙 #EV #ESS #LG Energy Solution #Samsung SDI #SK On
Copyright © DigitalToday. All rights reserved. Unauthorized reproduction and redistribution are prohibited.