ドイツの光学機器メーカーZEISS Groupが、SAPのクラウドERPへの移行計画を見直した。新規構築型のグリーンフィールド方式から、既存ERP環境を引き継ぐブラウンフィールド方式へ切り替える。移行コストが想定を上回って膨らんだことが背景にある。
Bloombergの報道によると、ZEISSではこの数年で移行費用が2億ユーロを超える水準まで拡大した。これを受け、既存のソフトウェアシステムをクラウドへ移行するブラウンフィールド方式へ方針を転換したという。
同社は当初、クラウド上に新たなシステムを構築するグリーンフィールド方式を想定していた。ただ、計画は想定以上に複雑だったため、見直しに踏み切ったとBloombergは関係者の話として伝えた。
Bloombergは、今回の方針転換は企業のクラウド移行に伴う複雑さとコスト負担の大きさを浮き彫りにする事例だと報じている。
ZEISSの広報担当者は、「大規模プロジェクトについては継続的に検証し、必要に応じて柔軟に調整している」と説明。その上で、ERP移行についても、移行スピードの向上と各事業部門の要件への対応を目的に計画を再調整したと述べた。
同担当者によると、まず既存のERP環境をS/4HANAへ移行し、その後に各事業部門向けのカスタマイズされたソリューションを展開する。グループ共通のコアシステムを基盤とし、その上に部門別のアプリケーションを載せる構成になるという。
SAPは欧州最大のソフトウェア企業で、Fortune 500企業の90%超が同社ソリューションを利用している。一方で、クラウド移行を終えていない顧客はなお多い。SAPはオンプレミス製品の標準サポートを2027年末で終了する方針を示している。
こうした中、SAPは2020年以降、オンプレミス製品の顧客に対し、サブスクリプション型ソフトウェアへの移行を促してきた。
もっとも、クラウド移行は容易ではない。米医療機器メーカーのZimmer Biometは昨年、SAPクラウドソフトウェア導入の失敗を巡り、責任追及の一環としてDeloitteを提訴している。