トランプ氏の対中交渉を巡り、中国製EVの米国販売容認観測が浮上している。写真=Shutterstock

ドナルド・トランプ米大統領が対中交渉の一環として、中国製電気自動車(EV)の米国販売を認める可能性があるとの噂が浮上している。ただ、情報の出所は明らかでなく、ホワイトハウスも現時点で中国車を巡る規制緩和の方針は示していない。

米EVメディアElectrekは9日(現地時間)、ミシガン州選出の民主党上院議員エリサ・スロットキン氏が、トランプ大統領が中国との「より大きな合意」を進める過程で、中国製自動車の米国内販売を認める可能性があるとの噂に言及したと報じた。

スロットキン氏は同日、X(旧Twitter)への投稿で、トランプ氏と中国の習近平国家主席によるワシントンでの会談が「数週間以内」に行われるとの見方を示した上で、「より大きな取引の一部として、中国車の米国内販売を容認する計画があるとの噂を耳にしている」と主張した。これを「戦略的な誤り」だと批判している。

同氏はさらに、ミシガン州の自動車産業に関わる120万人の雇用や、米国の製造基盤全体に「取り返しのつかない影響」を及ぼしかねないと警鐘を鳴らした。

もっとも、スロットキン氏は噂の情報源を明らかにしていない。ホワイトハウスも、中国との自動車分野の貿易障壁を緩和する計画は公表していない。

こうした発言の背景には、同氏が推進する超党派法案がある。スロットキン氏は、オハイオ州選出の共和党上院議員バーニー・モレノ氏と、中国製車両および関連するソフトウェア・ハードウェアの米国市場参入を阻止する「Connected Vehicle Security Act of 2026」を共同で進めている。

同法案は7月、上院商務委員会を全会一致で通過した。スロットキン氏は現在、上院本会議での審議入りを求めている。

同氏は、中国車が米国市場に流入したり、橋梁やトンネル経由で国境を越えて持ち込まれたりするのを防ぐための超党派法案だと説明している。対象には、カナダやメキシコで組み立てられた中国ブランド車も含まれるという。

米自動車業界と全米自動車労働組合(UAW)も同法案を支持している。中国製EVを単なる価格競争の問題ではなく、国家安全保障上の脅威と位置付け、議会に対応を求めてきた。

足元では、中国製EVの米国市場参入は事実上閉ざされている。バイデン前政権は2024年、中国製EVに対する関税率を25%から100%へ引き上げた。トランプ政権もこの関税を維持しているとされ、トランプ氏は100%関税について、バイデン氏による数少ない正しい措置の一つだと繰り返し評価してきた。

このため、現時点で確認できる政策シグナルだけでは、中国製EVの市場開放を裏付ける材料は乏しい。仮にトランプ氏が習氏との交渉で中国製車両の米国市場参入を認めれば大きな政策転換となるが、これまで表面化している動きは、むしろ中国車の流入阻止に向かっている。

中国製EVを巡っては、米国内の自動車産業保護、対中通商政策、国家安全保障が絡み合う論点として再び注目が集まっている。上院で中国製車両を対象とする規制法案の審議が進む中、ホワイトハウスが市場参入を巡ってどのような立場を示すのかが焦点となりそうだ。

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