写真=ザック・エイブラムス氏のLinkedInより

Open Standardの創業者兼CEOであるザック・エイブラムス氏はXで、ステーブルコインが実際の決済通貨として広がりにくい理由を示した。決済、機関取引、企業の資金運用、フィンテック・ネオバンクのインフラという4つの領域で課題を挙げた上で、自社の「Open USD」は収益配分や低手数料の設計によって対応すると説明している。

エイブラムス氏は、「昨夏にOpen StandardとOpen USDを発表して以降、数千件の提携問い合わせを受けた」と明らかにした。その上で、複数の企業との対話を通じて、より使い勝手のよいステーブルコインへの需要を強く感じたと述べた。

同氏によれば、ステーブルコインは現金並みの安定性と収益性を備え、インターネット上でデータのように移転できる金融インフラだ。ただ、企業は資産の保管手段としては利用できても、本来重要な役割である決済や取引では十分に活用できていないという。

まず決済分野では、カード決済処理事業者がステーブルコインでの精算を望んでいるとした。実現すれば、加盟店は顧客から受け取った資金を24時間リアルタイムで活用でき、資金循環の効率化につながるとみる。一方でカード会社にとっては、この仕組みが運用資産(AUM)の拡大につながりにくく、投資するインセンティブが乏しい点が障害になると指摘した。

次に機関投資家間の取引では、ニューヨーク証券取引所(NYSE)、ロンドン証券取引所(LSE)、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)、ナスダックがいずれもトークン化取引の導入を望んでいると説明した。現在はトレーダーが担保としてドルを差し入れ、利息を得られる半面、法定通貨の遅い決済ネットワークを使わなければならないことが課題だとする。

エイブラムス氏は、ステーブルコインを主要な取引通貨として使えば、特に価格変動の大きい市場で流動性をより機動的かつ効率的に管理できると指摘した。ただし、その転換が進むには、ステーブルコインの経済的メリットを市場参加者が十分に享受できることが前提になるとの見方を示した。

3つ目は企業の資金運用だ。多くの企業は余剰資金を遊休化させずに運用したいと考えており、現状では利息の付く証券に振り向けるのが一般的だという。これに対し、ステーブルコインを使えば、トークン化されたマネー・マーケット・ファンドへの資金の出し入れをプログラムで自動化でき、運用プロセスを大幅に簡素化できるとした。ごく短時間の資金でも利回りを確保しやすくなる点を利点として挙げた。

もっとも、取引のたびに手数料が発生し、利益をコストが上回るケースがあることが普及の妨げになっていると問題視した。

4つ目はフィンテックおよびネオバンク向けインフラだ。エイブラムス氏は、過去にステーブルコイン発行企業Bridgeで勤務していた際、Meow、Slash、Arqといったフィンテック企業と協業した経験に触れた。

これらの企業は、国境をまたいで拡張しやすく、低コストかつ高速な送金基盤を求めているという。ステーブルコインはその需要に合致するものの、現時点ではあらゆる用途に対応しているわけではない。米国内では依然として法定通貨ベースのインフラの方が経済合理性に優れ、手数料も固定で、余剰資金をマネー・マーケット・ファンドに柔軟に振り向けられるためだ。

その結果、多くのフィンテック企業は「米国内は法定通貨、海外はステーブルコイン」という二重構造での運用を余儀なくされているとした。

エイブラムス氏は、こうした現状を示した理由について、Open Standardがまさにこれらの課題解決に取り組んでいることを強調するためだと説明した。

同氏によると、Open Standardのビジネスモデルは、運用資産の積み上げではなく、実際の利用拡大を促す設計を採っている。具体的には3つの柱がある。

第1に、準備資産から生まれる収益を可能な限り参加企業へ分配することだ。Open USD上でサービスを構築する開発者には、貢献度に応じた報酬を支払うとしている。

第2に、取引ごとに開発者へ課す手数料を低く抑えることだ。エイブラムス氏は、銀行間のACH(Automated Clearing House)送金のように、送金額は受取側にそのまま渡り、手数料は銀行が別途受け取る仕組みに近いと説明した。

第3に、他のステーブルコインとは異なり、Open USDでは出金手数料を一切徴収しない点を挙げた。

エイブラムス氏は、Open USDが定着すれば、先に挙げた課題は解消できるとの見方を示した。VisaとMastercardは大規模な決済精算にステーブルコインを活用でき、機関投資家は取引通貨として利用できる。企業の財務担当者は数分、あるいは数秒単位の余剰資金も自動運用しやすくなり、ネオバンクもより効率的に事業を拡大できるという。

さらに同氏は、成功すれば企業は現在法定通貨で行っている業務の大半をOpen USDでも同様に実行できるようになり、より低コストで高速、かつグローバルでプログラム可能なインフラの恩恵を受けられると付け加えた。

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