米国の暗号資産業界団体が、イリノイ州で2027年1月に施行予定の「0.2%デジタル資産税」の差し止めを求め、裁判所に仮差し止めを申請した。暗号資産取引に連動する州レベルの課税制度を巡り、法廷闘争が本格化している。
9日付のCointelegraphによると、Crypto Innovation Council(CCI)とBlockchain Associationは、イリノイ州サンガモン郡巡回裁判所に対し、同法の施行停止を求める仮差し止めを申請した。両団体は8月21日、同法は違憲だとして提訴している。
J.B.プリツカー知事が6月に署名した同法は、2027年1月1日から施行される予定だ。イリノイ州の顧客がブローカーを通じて暗号資産の交換、移転、保管を行う際、対象資産の価値に対して0.2%を課税する。キャピタルゲインではなく、取引資産の価値そのものを課税ベースとし、ブローカーが顧客から徴収して州に納付する仕組みとなる。
これに対し業界側は、課税対象の範囲が不明確なまま、事業者に数百万ドル規模のシステム投資を迫る内容だと反発している。CCIとBlockchain Associationは、同法が米憲法上の休眠商業条項や適正手続きに反するほか、連邦のインターネット税自由法にも抵触すると主張。施行前の段階ですでに回復不能な損害が生じていると訴えた。現時点で裁判所の判断は示されていない。
イリノイ州は、この税によって年間約6000万ドルの税収を見込む。一方、業界側は、暗号資産だけを切り分けて課税すれば、企業や利用者が他州や他の資産クラスへ流出する可能性があると警戒している。Digital Chamberも7月、別途訴訟を起こした。
今回の訴訟の行方は、イリノイ州にとどまらず、他州の制度設計にも影響を及ぼす可能性がある。業界は、同法が維持されれば、同様の課税モデルが全米に広がりかねないと懸念している。米国で初めてとなる暗号資産取引ベースの州税が実際に導入されるかどうかは、裁判所による仮差し止め判断が最初の焦点となる。