キルギスでは年初から立件された暗号資産関連の刑事事件が90件に達した。写真=Shutterstock

キルギスで暗号資産関連犯罪の摘発が強まっている。暗号資産市場が急拡大するなか、年初から警察が立件した関連の刑事事件は90件に達した。当局は金融機関との連携も強化し、不審取引の早期停止や犯罪収益の追跡体制づくりを進めている。

9日付のCryptoPolitanによると、ウラン・ニヤズベコフ内務相は5日、チョルポン・アタで開かれた国家暗号資産・ブロックチェーン技術開発委員会の会合でこうした状況を説明した。暗号資産がサイバー詐欺、横領、資金洗浄、犯罪収益の隠匿・移転に加え、資金の受け渡し役とされる「ドロッパー」の勧誘にも使われていると指摘した。

ニヤズベコフ内務相は、国境をまたぐ取引が短時間で実行され、複数のウォレットやミキサーを経由することで資金の追跡が難しくなっていると述べた。2025年に越境オンライン詐欺組織を捜査した際には、容疑者の端末から300万ドル超の暗号資産が入ったTRONのウォレット情報も見つかったという。ただ、この資産を実際に押収したかどうかは明らかにされていない。

当局は金融機関との協力体制も強めている。内務省と中央銀行は6月、金融詐欺対策に関する協定を締結した。サイバー犯罪に関する警報を受けた際、銀行が疑わしい取引を迅速に停止できるようにするのが狙いだ。警察、検察、中央銀行の間でデジタル犯罪情報を共有する仕組みの整備に加え、犯罪収益の流れを同時に追う並行金融捜査の導入も進めている。

こうした取り締まり強化の背景には、同国の暗号資産市場の急成長がある。金融監督当局によると、2025年に現地の暗号資産サービス事業者が扱った取引額は2兆7350億ソムに達した。Chainalysisの2025年版指数でも、キルギスは人口当たりで世界19位に入った。

政府は、ソム連動のステーブルコイン「KGST」やデジタル・ソムなどの取り組みも広げている。中央銀行は年末までにデジタル・ソムの基本プラットフォームを試験し、2027年に実環境でテストする計画だ。

一方で、EUは7月、ロシア制裁の回避に関わったとして、キルギスの銀行1行と同国の一部暗号資産関連プラットフォームに取引制限を課した。暗号資産産業の育成を進めながら、不正資金の流入や移転をどう抑えるかが課題となっている。

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