写真=Monitorlab代表のイ・グァンフ氏

Monitorlabは、国家網セキュリティ体系(N2SF)の導入を追い風に、公共・金融分野でSSE(Security Service Edge)を軸としたSECaaS(Security as a Service)事業の拡大を目指す。これまで参入が難しかった公共分野でもゼロトラスト需要の拡大が見込まれるためだ。一方で、CSAPなど各種認証の取得負担は依然として重く、事業拡大のハードルとして残っている。

同社のイ・グァンフ代表は9日、統合アプリケーションセキュリティセミナー「IASF 2026(Integrated Application Security Fair 2026)」の会場で記者懇談会を開き、「これまで公共市場にSSEを供給するのは現実的に難しかったが、N2SFの導入を機に状況が変わりつつある。課題は残るものの、政府が公共機関でもSECaaSを導入できる方向を明確に示している」と述べた。

Monitorlabが主力とするSSEは、セキュアWebゲートウェイ(SWG)、クラウドアクセスセキュリティブローカー(CASB)、リモートブラウザー分離(RBI)、ゼロトラスト・ネットワーク・アクセス(ZTNA)などの機能をクラウド上で統合提供する仕組みで、SECaaSの中核領域に位置付けられる。

公共分野ではこれまで、ネットワーク分離政策の影響で、公共機関がクラウドベースのセキュリティ製品を採用しにくい構造が続いていた。こうした中、国家情報院は一律のネットワーク分離から見直しを進め、重要度に応じて情報を区分するN2SFを打ち出した。

N2SFではデータをC(Classified)、S(Sensitive)、O(Open)に分類し、このうちO等級についてはインターネットへの公開を認める。Monitorlabは、こうした制度変更が公共・金融分野のゼロトラスト導入を後押しし、SSE型SECaaSの採用余地を広げるとみている。

N2SFの適用は義務ではないが、公共セキュリティ市場で影響力を持つ国家情報院が指針として提示しており、政府も公共機関に導入を促している。関連業界では、従来にはなかった新たな需要が立ち上がるとの期待が出ている。

もっとも、公共分野でSECaaSの採用余地が広がっても、実際の参入にはなお課題が残る。公共市場に製品を投入するには、国家情報院のセキュリティ機能確認書やCC(Common Criteria)認証に加え、科学技術情報通信部のクラウドサービスセキュリティ認証(CSAP)の取得も必要になるためだ。

CSAPはSaaSとIaaSに分かれており、SaaS事業者であってもIaaS領域の認証取得が求められる。認証ごとの取得費用は億ウォン規模に達するとされ、需要が十分に見込めなければ、中堅・中小のセキュリティ企業にとっては大きな負担となる。公共分野でSECaaS参入の道は開きつつあるものの、認証投資に見合うだけの市場が早期に形成されるかはなお不透明だ。

国家情報院はCSAPに代わる新たなクラウドセキュリティ認証体系の導入方針も明らかにしているが、大枠ではCSAPに近い制度になると伝えられている。SaaSにとどまらずIaaS認証への対応も必要になることを踏まえ、MonitorlabはLG Uplusとの協業も進めている。LG Uplusは、Monitorlabなど国内セキュリティ企業と連携し、クラウドネイティブの統合セキュリティプラットフォーム「U+SASE」を提供している。

イ代表は「SECaaS市場への参入を目指す国内セキュリティ企業は増えているが、公共市場を攻略するうえで必要な認証は、他社にとって高い参入障壁になり得る」と述べた。

2005年設立のMonitorlabは、Webトラフィック環境でリクエストとレスポンスを中継し、有害な接続を遮断する独自プロキシ技術を強みに、Webアプリケーションファイアウォール市場で存在感を高めてきた。2016年にはSECaaSプラットフォーム「アイオン・クラウド」を投入し、クラウドセキュリティサービスへ事業領域を拡大。2025年には脅威ハンティング基盤のEDR専業企業「ソマ」を買収し、ネットワークセキュリティからエンドポイント領域へと事業を広げた。足元では生成AI向けセキュリティ製品も展開している。

売上高は2023年が142億ウォン、2024年が149億ウォン、2025年が192億ウォン。直近3年の平均成長率は8.8%だった。イ代表は「オンプレミスのアプライアンス売上は緩やかな伸びにとどまる一方、アイオン・クラウドのようなサブスクリプション型プラットフォームの売上は急成長している」と説明した。

アイオン・クラウドは、SWG、CASB、RBI、ZTNA、Webアプリケーションファイアウォールを統合したSSEプラットフォームで、現在は15カ国・40拠点のグローバルエッジ基盤を通じて提供している。

同社は国内需要がまだ大きくない段階から、アイオン・クラウド提供に向けた自社インフラ投資を先行して進めてきた。イ代表は、今から市場参入を進める企業に比べて優位性があると強調する。海外売上比率は昨年時点で全体の2%にとどまる一方、日本などでは問い合わせやデモ要請が増えているという。同氏は「米国と日本の現地法人、海外パートナー網を活用し、グローバルSSE市場でのシェア拡大を進める」と述べた。

生成AIセキュリティも、同社が新たな成長分野として位置付ける領域だ。IASF 2026でも主要テーマの一つに据えられた。Monitorlabは、企業内で生成AIを活用する際に発生し得るプロンプトインジェクションやAIの悪用、機微情報の流出防止に焦点を当てたソリューション「GenAI Security」を提供している。提供形態はオンプレミス型と、アイオン・クラウド上のサービス型の双方に対応する。

イ代表は「生成AIセキュリティの次の段階として、AIエージェントセキュリティを準備している」と説明した。AIエージェントと社内データ、システムを接続する標準プロトコルであるMCP(Model Context Protocol)のトラフィックまで保護対象を広げる考えだ。どのエージェントが、どのサーバーに登録されたどのツールを、どのように呼び出すのかを識別し、許可リストベースで未承認の呼び出しを遮断する。すべての呼び出し履歴は監査ログとして記録し、事後追跡を可能にする方針としている。

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