OpenAIが、ChatGPTを軸とする広告事業の拡大に動いている。検索広告の意図把握とソーシャルメディア広告の文脈把握を組み合わせた広告基盤を目指しており、広告導入から7カ月で年換算売上高は10億ドル(約1500億円)規模に達したという。
Business Insiderが8日(現地時間)に報じたところによると、OpenAIの最高財務責任者(CFO)、サラ・フライアー氏は、サンフランシスコで開かれた「Goldman Sachs Communacopia + Technology Conference」で、ChatGPTの広告事業について「GoogleとMetaが子どもを産んだようなものだ」と述べた。広告を中核収益源とする両社の強みを取り込んだ事業モデルを志向していることを示した発言とみられる。
フライアー氏は、ChatGPTへの広告導入から7カ月で、広告事業の年換算売上高が10億ドル規模に達する見通しだと明らかにした。現在は、無料ユーザーと有料サブスクリプションユーザーの双方に対し、ChatGPTの回答下部へ簡易な広告を表示している。
OpenAIが重視するのは、検索広告とソーシャルメディア広告の長所を組み合わせることだ。フライアー氏は、ChatGPTがユーザーとの対話を通じて得た情報を基に、Google検索のような意図把握と、Metaが持つような文脈情報の活用を同時に実現できると説明した。
同氏によれば、ChatGPTのユーザーは通常の検索より多くの情報を直接入力するため、購買意図をより高い精度で把握しやすい。加えて、サービス側がユーザーに関する記憶情報を持つことで、属性単位ではなく個人単位に近い広告配信も可能になるという。こうした要素を組み合わせることで、強力な広告プラットフォームを構築できるとの見方を示した。
広告フォーマットも今後、高度化する見通しだ。フライアー氏は、OpenAIが広告基盤の整備と配信範囲の拡大を進める一方、AIに最適化した広告フォーマットの開発にも取り組んでいると述べた。すでに社内チームから初期段階の案は上がっているものの、AI固有の広告フォーマットを本格導入する段階には至っていないという。
こうした動きは、OpenAIの従来姿勢からの転換でもある。サム・アルトマンCEOは2024年、広告とAIを組み合わせることについて「異様に不快だ」と語っていた。
背景には、巨額のコスト負担があるとみられる。OpenAIは、約10億人のユーザーを抱えるChatGPTアプリと大規模な資金、先端AIの研究開発力を、持続可能な事業へ結び付ける必要がある。コンシューマー向けと法人向けの両事業を拡大するなか、AI推論コストやデータセンター建設費、研究開発費などの重い支出を賄わなければならない。
OpenAIは3月の資金調達で、企業価値を8520億ドル(約12兆7800億円)と評価され、1220億ドル(約1兆8300億円)を調達した。広告事業の拡大は、こうした大型投資を支える新たな収益源の確保という意味合いも強い。
さらに、この収益化の動きは新規株式公開(IPO)準備との関係でも注目されている。OpenAIとAnthropicは6月、それぞれIPOに向けたS-1登録届出書を非公開で提出した。Anthropicはチャットボットの回答に広告を組み込む手法に批判的な立場を示しており、この点でOpenAIとは対照的だ。両社のIPOは、ウォール街がAI企業の収益性と財務体質をどう評価するかを測る試金石になりそうだ。
Anthropicは今後数週間以内に公開版のS-1を提出する見通しだが、OpenAIは具体的な上場日程を明らかにしていない。ただ、フライアー氏はこれまでに、OpenAIが2027年末までに上場する可能性に言及している。