Googleは、Webブラウザ「Chrome」のメジャーアップデート周期を従来の4週間から2週間に短縮した。Chrome 153の公開に合わせて新たな配信スケジュールへ移行し、次期版のChrome 154は22日に公開する予定だ。AIを悪用した攻撃など、変化の速い脅威への対応を急ぐ狙いがある。
米TechCrunchなどは8日(現地時間)に報じた。対象はデスクトップ版のほか、Android版、iOS版を含む。これまで4週間ごとだったメジャー更新は、今後は2週間ごとの配信となる。
今回の見直しの主眼は、セキュリティ対応の迅速化だ。Googleは、AI時代を踏まえてChromeのセキュリティ戦略も見直していると説明している。自動化されたAIツールの活用が広がり、コミュニティからのバグ報告も増えるなか、パッチやアップデートの規模が拡大しており、修正をより早くユーザーに届ける必要が高まっているためだ。
Googleは、AIを用いた攻撃を含む急速に変化する脅威に対応するには、修正コードの公開から実際の配信までの時間差を縮める必要があるとしている。これは、脆弱性の情報公開後からパッチ適用までに生じる、いわゆる「N-day」の空白期間を最小化することにもつながる。修正が公開されると、攻撃者がその内容を解析し、脆弱性を悪用する可能性があるためだ。
更新サイクルの短縮により、1回のアップデートに含まれる変更範囲は小さくなる。一方で、新機能や性能改善、不具合修正をより高い頻度で提供できるようになる。変更規模が小さければ、更新後に問題が発生した場合も原因を切り分けやすい。Googleは、開発者にとっても、Web機能の展開時期の見通しが立てやすくなり、ブラウザ間の互換性改善やセキュリティ更新の迅速化につながるとみている。
隔週更新への移行は、機能追加のスピード面でも意味を持つ。AIを活用したソフトウェア開発が広がるなか、新たなブラウザが相次いで登場しているためだ。OpenAIのWebブラウザ「ChatGPT Atlas」は終了したが、Brave、Dia、Opera Neon、PerplexityのComet、DuckDuckGo BrowserなどがChromeの牙城に挑んでいる。GoogleもChromeへのAI機能搭載後、改良のペースを速めており、更新周期の短縮はブラウザの機能競争にも影響を与えそうだ。
こうした動きは、Webエコシステム全体にも波及する可能性がある。Chromeは世界で最も利用者の多いブラウザであり、そのリリースサイクルの変化が業界の事実上の基準となり得るためだ。Mozilla、Microsoft、Braveもすでに2週間単位の高速更新スケジュールの導入を進めている。
企業向けの「Extended Stable」チャネルについては、従来どおり8週間ごとの更新を維持する。ただ、Googleは企業ユーザーに対しても、大半は2週間ごとの「Stable」チャネルの利用を推奨している。
Chromeの更新周期短縮は今回が初めてではない。Googleは2021年にも、メジャーリリースの周期を6週間から4週間へ短縮している。今回の隔週化はその延長線上にあり、AIによって加速するセキュリティ脅威への対応と、新機能・性能改善の迅速な提供を両立させるための施策といえる。