ドバイ・マルチ・コモディティ・センター(DMCC)は、重量1971kgの銀地金をトークン化し、デジタル持ち分の発行を開始した。ブロックチェーンメディアのCoinpostが9日、報じた。
この案件は、ドバイの仮想資産規制庁(VARA)の枠組み下で提供される初のコモディティ資産のトークン化事例となる。発行はVARAの規制下にある暗号資産プラットフォームのTokinvestが担い、7日から対象投資家向けにデジタル持ち分の提供を始めた。個人投資家も対象に含まれる。
対象となる銀地金は純度99.9%、重量1971kg。ギネス世界記録に登録された世界最大の銀地金で、トークンは資産参照型仮想資産(ARVA)として発行する。発行基盤にはBNB Chainを採用した。現物の銀地金はDMCCのTradeflowに登録・検証され、保管と物流はBrink'sが担当する。
この取り組みは、昨年11月に開催された「DMCC Dubai Precious Metals Conference」で当該銀地金が公開され、ギネス世界記録の認定を受けた後に本格化した。銀地金は、貴金属メーカーのSAM Precious Metalsがアラブ首長国連邦(UAE)の建国年である1971年を記念して製作したという。
DMCCの最高経営責任者(CEO)、アハメド・ビン・スライエム氏は、2025年11月に示した構想を実行段階に移したと説明した。VARAで部門開発を統括するポール・ブーツ氏は、商業インフラ、規制下の暗号資産発行、機関投資家向け保管、ブロックチェーン技術を組み合わせたモデルになり得るとの見方を示した。
Tokinvestの共同創業者兼CEO、スコット・ティル氏は、銀地金への投資はこれまで個人投資家にとってアクセスしにくい資産クラスだったと述べた。そのうえで、対象投資家は7日からこの銀地金のARVAにアクセスできるとした。
今回の仕組みでは、現物の貴金属をブロックチェーン上の持ち分に分割して流通させる。大型の現物資産を直接購入しにくかった投資家でも、規制の枠内で一部の持ち分に投資できるようになる。一方、規制対象となる二次市場での取引は、当初発行後に適用される規制やプラットフォーム要件を踏まえて開始する予定だ。
DMCCは今回のトークン化を、商品、資本、技術をつなぐ取り組みの一環と位置付けている。今後の焦点は、二次取引の開始時期と規制要件の確定、それに実物資産のトークン化が貴金属市場でどこまで広がるかにありそうだ。