8月の暗号資産市場は、時価総額上位銘柄を中心に上昇が広がった。ステーブルコインを除く上位100銘柄の83%が上昇し、年初来で最も広範な上げ相場となった。米国の現物ETFへの資金流入に加え、DeFi融資残高の増加も相場を下支えした。
ブロックチェーンメディアのCoinPostが8日付で伝えたところによると、CryptoRankは月次分析で、上位100銘柄のうちステーブルコインを除く84銘柄中70銘柄が8月に上昇したと集計した。
今回はビットコイン主導の上昇にとどまらなかった。6月には同じ84銘柄の87%が下落していたが、約8週間で上昇優位へと転じた。CryptoRankは、この反転が8月相場の大きな特徴だと指摘した。
主要銘柄の上昇率も大きかった。ビットコインは8月に25%上昇し、8月としては過去3番目の上昇率を記録した。2017年以降では最も強い8月の値動きとなった。イーサリアムも32.5%上昇し、2021年以降で最高の8月成績となった。
もっとも、市場全体がただちに典型的なアルトシーズンに入ったわけではない。上位100のアルトコイン全体はビットコイン建てで26.5%上昇し、ビットコインの上昇率25%をわずかに上回ったが、個別銘柄の上昇率中央値は17%にとどまった。CryptoRankは、一部の大型・中型銘柄が全体指数を押し上げた一方、「アルトシーズン指数」は40ポイント未満にとどまったとした。アルトコインが相場の主導権を全面的に握る局面には至っていないとの見方だ。
投資家心理も8月に急速に改善した。恐怖・強欲指数は8月20日まで217日連続で51以下の「恐怖」ゾーンにあったが、その後は数日で「強欲」ゾーンに転じた。8月25日には74まで上昇し、2025年10月以降で最高水準を付けた。CryptoRankは、ポジションが軽い状態でショートの清算が連鎖し、上昇を増幅させたとみている。
資金流入も鮮明だった。米国のビットコイン現物ETFは8月に35億2000万ドルの純流入を記録し、2026年で最も強い月間フローとなった。6月に45億1000万ドルが流出した後、資金の流れが反転した形だ。8月17日から27日までは9営業日連続で純流入となり、月間21営業日のうち16営業日がプラスだった。米国のイーサリアム現物ETFにも約18億5000万ドルが流入した。
デジタル資産価格の反発は、DeFi市場での与信拡大とも連動した。DeFi融資残高は6月の201億ドルから、7月は217億ドル、8月は261億ドルへと増加し、2カ月で30%増となった。CryptoRankは、担保を積み増して再び借り入れる動きが戻り、今回の上昇は単なる投機ではなく、資金循環の拡大を伴っていると評価した。
一方で、レバレッジ拡大への警戒は残る。融資残高の増加率が同期間のビットコイン上昇率に近いことから、価格が再び下落に転じた場合には、借り入れポジションの縮小が連鎖する可能性がある。上昇幅が大きい分、反落リスクも高まり得るという。
年初来で強さを見せてきた実物資産連動分野には変化も出始めた。実物資産を担保とする無期限先物の取引量は、1月以降で初めて減少に転じた。7月の1410億ドルから、8月は1220億ドルへ13.5%減少した。ビットコインや主要銘柄のボラティリティが戻るなか、収益機会を求める資金が実物資産連動市場から主要暗号資産に回帰した流れを映している。
9月相場は、今回の反発が持続するかを見極める局面となりそうだ。米財務省は9月9日から、長期国債の買い入れ規模を1回当たり最大20億ドルから最低40億ドルへ拡大する方針だ。CryptoRankは、8月の反発が一時的なショートカバーにとどまるのか、それとも資金循環の拡大を伴う持続的な上昇局面につながるのかを見極めるうえで、9月相場が試金石になるとみている。