Intelが10月にもPC向けCPUを約10%値上げする可能性がある。米ITメディアのThe Vergeが9月8日(現地時間)、同社が年初と同程度の価格改定を再び準備していると報じた。
今回の値上げ観測の背景には、PC向けCPU事業でシェア拡大より収益性を重視する方針への転換があるとみられる。低価格で販売を伸ばすより、利益率の改善を優先する構えだという。
こうした動きは、半導体業界全体で広がるコスト上昇の流れとも重なる。Qualcommは9月1日にチップ価格を引き上げた。メモリやノートPC、スマートフォン向けを含む部材不足も続いており、製造コストは上昇基調にある。Intelが値上げに踏み切れば、PC市場全体のコスト負担がさらに重くなる可能性がある。
Intelでは社内再編の可能性も取り沙汰されている。全従業員の5〜10%を追加削減する案を検討する一方、新規採用を並行して進める可能性もあるという。単純な人員削減ではなく、事業再編に合わせた人員構成の見直しという色彩が強い。
製品ポートフォリオの見直しも進む可能性がある。報道によると、小型コア関連ラインの段階的な終息案が検討されている。ただ、影響はコンシューマー向けPCよりも、産業用PCやIoT分野で大きい見通しだ。主力の個人向けPC製品群に直接的な変更が生じるわけではなく、影響は限定的とみられる。
Intelは7月の決算発表で、過去約15年で最も強い売上成長を記録したとしていた。成長をけん引したのは、データセンター事業とAI事業だ。一方、今回の動きはPC向けCPU事業の収益構造を改めて見直す一手と位置付けられる。データセンターとAIで成長軸を確保する一方、PC事業では低価格戦略より採算維持を優先する構図が鮮明になっている。
市場では、Intelの価格政策の変化が一時的な値上げにとどまらない可能性にも関心が集まっている。部材不足が続くなか、メモリや完成品の価格にはすでに上昇圧力がかかっており、高値基調が数年続くとの見方もあるためだ。このため、10月の値上げの有無は単なる価格改定にとどまらず、PC向け半導体市場が収益性重視へと再編される転換点を示す可能性がある。