現物ETFを含む資金フローが相場の焦点となっている(写真=Shutterstock)

足元のビットコイン急騰で乗り遅れを意識する投資家も多いが、相場はなお新たな上昇サイクルの序盤にある可能性がある。暗号資産マーケットメイク大手のWintermuteは最新レポートで、現在の値動きは上昇相場の終盤ではなく、次の上昇に向けた準備局面だとの見方を示した。U.Todayが8日報じた。

Wintermuteによると、米国の強い雇用統計は金融市場全体の重荷となったものの、暗号資産市場は想定以上の底堅さを示した。市場では米連邦準備制度理事会(Fed)による追加利上げ確率がおよそ60%織り込まれ、金や国債、ハイテク株は軟調に推移した。

ビットコインも一時8万2400ドルから8万ドルを下回ったが、その後は下げを早期に取り戻し、週間では3.45%上昇した。

同社はその背景として、株式市場の一服感を挙げる。長く続いた人工知能(AI)関連ラリーの後、投資家が利益確定を進め、その資金の一部がビットコインやイーサリアムに向かっているという。株高と連動して上昇するのではなく、株が弱い局面でも暗号資産が買われている点を特徴としている。

調整局面の見方についても、今回は過去のサイクルとは構造が異なると指摘した。価格水準が高いため大幅な下落を待つべきだとの見方もあるが、Wintermuteは今回は同じ見方が当てはまらないとみている。

根拠として挙げたのが下落率の違いだ。過去最高値から約340日が経過した時点で、2018年と2022年の危機局面ではビットコインはすでに75%超下落していた。一方、今回は最大下落率が約50%にとどまっており、サイクルごとの下値が浅くなっているとの見方を示した。

その背景には機関投資家マネーの流入があるという。主要ファンドは、ビットコインが2万ドルまで下落するのを待つことなく、現物ETFを通じてより早い段階から積極的に買いを入れているとした。

実際、直近3週間でこうしたファンドには10億ドル(約1500億円)近い資金が流入した。先週木曜日には、1月以降で最大の流入を記録したとしている。

Wintermuteは、市場内での資金シフトにも言及した。現在の市場は「サイクル初期」に入っており、ビットコインやイーサリアムといった大型暗号資産から、よりリスクの高い資産へ段階的に資金が移る局面だと分析している。

実際、UniswapのUNIとArbitrumのARBはこの1週間で約40%上昇した。12月の主要イベントを控えたAI関連分野でも、Bittensor(TAO)とRender Token(RENDER)を中心に物色が戻り始めていると指摘した。

次の分岐点は、2つの価格帯に集約される。ビットコインが8万2000ドルを明確に上抜ければ、様子見資金が乗り遅れ懸念から追随し、資金流入が加速する可能性があるという。

一方で、7万2000ドルを割り込み、現物ETFから大規模な資金流出が起きれば、強気シナリオは後退しかねないと警告した。同社は7万2000ドルを、強気見通しの重要な下値メドに位置付けている。

今月最大の変数として挙げたのは、11日に発表される米消費者物価指数(CPI)だ。この指標が、スマートマネーの株式離れと暗号資産への流入継続を後押しするのか、それとも市場全体に売り圧力を広げるのかを見極める試金石になるとみている。

Wintermuteは、今回の上昇局面の持続性を測るうえで、ビットコイン価格そのものだけでなく、現物ETFの資金フローが重要な指標になっていると結論付けた。

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