米国で暗号資産規制の包括整備を目指す「Clarity法案」の先行きが不透明になっている。民主党が求める倫理条項の強化を巡って与野党の溝が埋まらず、上院での審議入りに向けた動きは停滞。年内成立の可能性は15%程度にとどまるとの見方も出ている。
ブロックチェーン関連メディアのU.Todayが8日(現地時間)に伝えたところによると、共和党上院議員の間でも、来週予定される採決に向けて必要な賛成票を確保できない可能性が指摘されている。Semaforも、民主党が要求する倫理条項の強化を巡る協議に目立った進展がないと報じた。
Clarity法案は、米国の暗号資産規制の枠組みを包括的に整備する内容で、業界が最重要の立法課題と位置付けてきた。ただ、民主党側が求める倫理条項の強化が最大の争点として残っている。
上院側の修正案には倫理条項が盛り込まれたものの、与野党の隔たりを埋めるには不十分だったとされる。
共和党内にも慎重な見方が広がる。マイク・ラウンズ上院議員(サウスダコタ州)は、法案可決の可能性について「見通しは厳しい」と述べた。
トム・ティリス上院議員(ノースカロライナ州)も、妥協がなければ法案は頓挫するとの認識を示した。民主党のアンジェラ・アルソブルックス上院議員(メリーランド州)も、より踏み込んだ倫理条項が盛り込まれなければ支持しない考えを示している。
上院は当初、ワシントン復帰後にClarity法案の審議に入る予定だった。ジョン・スーン上院院内総務も、法案処理を進める方針を示していた。
現在、上院は9月15日に法案審議入りに向けた手続き採決を予定している。
ただ、審議の遅れによって妥協案を取りまとめる時間は限られてきた。中間選挙が近づくなか、議会の関心が選挙対応に移る可能性も高まっている。
こうした状況を踏まえ、Clarity法案の年内成立の可能性は15%程度まで低下したとの見方が出ている。
下院の日程縮小も不透明要因だ。下院共和党が9月の立法日程を大幅に減らしたことで、法案処理が中間選挙後にずれ込むとの観測も浮上している。
上院では倫理条項を巡る対立が続いており、年内成立の見通しは一段と不透明になった。
暗号資産に前向きな姿勢で知られるシンシア・ルミス上院議員(ワイオミング州)は、法案が頓挫した場合の責任は民主党にあると主張した。
ルミス氏は「この法案が失敗するとすれば、倫理の問題が理由ではない。消費者保護、米国のデジタル資産分野での主導権強化、不正金融対策を可能にする超党派法案に、民主党が共和党と歩調を合わせなかったためだ」と述べた。
一方で、同氏は妥協の余地がなお残っているとの見方も示した。「隔たりを埋めることができれば、Clarity法案を成立させられると確信している」と述べ、民主党側の追加譲歩を求めた。
さらにルミス氏は、今年中に法案が成立しなければ、包括的な暗号資産規制の整備が2030年までずれ込む可能性があると警告した。今会期で処理できなければ、次の本格的な立法機会は2030年まで先送りされかねないとしている。