10月1日から、移動通信各社が加入者の利用実績を分析し、現在の利用状況に合った料金プランを通知する「最適料金プラン通知制度」が始まる。利用者の通信費抑制につながる可能性がある一方、業界では低価格プランへの移行に伴うARPU(1契約当たり平均売上高)の低下や、システム整備コストの増加を懸念する声も出ている。
通信業界と科学技術情報通信部によると、同制度は改正電気通信事業法に基づいて導入される。一定規模以上の電気通信事業者は、利用者の料金や利用条件、利用行動などを分析し、利用実態に合った最適な料金プランを通知しなければならない。
同部は制度開始に向け、詳細基準を盛り込んだ施行令改正案と告示制定案を準備した。現在は規制審査などの手続きが進んでいる。
◆利用者主導の比較から、事業者による通知へ
制度のポイントは、料金プランを探す主体が利用者から通信事業者へ移る点にある。事業者が保有する加入者の利用実績を分析し、より適した料金プランを先に通知する仕組みだ。
これまでは、利用者が通信費を抑えようとする場合、自らデータ通信量や通話量を確認したうえで、各社の公式サイトや韓国通信事業者連合会(KTOA)の「Smart Choice」、民間の料金比較プラットフォームなどを使って適切なプランを探す必要があった。
同部の関係者は「利用者が自分に合った料金プランを直接探さなければならなかった不便を減らし、通信費の削減を後押しする制度だ」と説明した。
同部が行政予告した告示案によると、事業者は音声通話、SMS、データ通信の直近6カ月の平均利用量に加え、年齢、職業、身体的条件など、特定プランの利用条件に関わる情報も踏まえて最適な料金プランを算定する。通知頻度は、現時点では6カ月に1回とする案が有力だ。
ただ、事業者には単純に最安プランを示すのではなく、利用条件も踏まえて、より低廉なプランを優先的に提示することが求められる。データ容量だけを基準に最安の商品を勧めた場合、セット割引や付帯特典がなくなり、実際の支払額がかえって増える可能性があるためだ。
事業者はSMS、電子メール、メッセンジャーなどを通じて分析結果とプラン変更手続きを案内し、最終的に変更するかどうかは利用者が判断する。
◆まずは通信3社に適用、MVNOは当面対象外
制度の適用対象は当面、SK Telecom、KT、LG Uplusの移動通信大手3社となる。告示案では、通知義務を負う事業者の売上高基準を1兆ウォンとしている。
同部は制度設計の過程でMVNOを含める案も検討したが、利用実績の分析や推薦システムの構築に相応のコストがかかる点などを踏まえ、ひとまず対象外とした。
同部関係者は「業界や専門家との議論を経て、まずは通信3社を対象に施行することにした。MVNOを含めるかどうかは、制度運用の状況を見ながら今後判断する」と述べた。
10月1日以前から通信3社を利用している既存加入者も、通知対象に含まれる見通しだ。政府と通信業界は、既存加入者にも最適な料金プランを案内する方向で一致しており、具体的な時期と方法を協議している。
制度が定着すれば、契約時に選んだプランを長期間見直していない利用者ほど恩恵を受けやすいとみられる。家族割引や長期利用割引、会員特典などから事業者を変える意向はないものの、同一事業者内でより適したプランへ見直す余地がある利用者が典型例だ。
一方、事業者側の負担は小さくない。高額プランを契約していても実際のデータ利用量がそれほど多くない加入者が低価格プランへ移れば、ARPUの低下につながる可能性がある。
◆海外では先行導入、国内でも見直し促進となるか
海外では類似制度の導入が進んでいる。情報通信政策研究院(KISDI)によると、欧州連合(EU)は2018年の欧州電子通信法で、契約終了通知と年1回の最適料金情報の提供義務を導入した。アイルランドとドイツは事業者に年1回の最適料金情報の提供を義務付けており、英国も契約終了通知と年1回の最適料金通知制度を運用している。
海外では、利用者の料金プラン選択行動に変化をもたらす効果も確認されている。英国の事後評価では、年1回の最適料金通知制度が加入者の再契約や事業者の乗り換え行動に影響を与えたという。
最終的な通信費削減効果は、利用者がどの程度プランを変更するかに左右されそうだ。事業者がより適したプランを通知しても、利用者が従来プランを維持すれば、効果は限定的にとどまる可能性がある。
通信業界関係者は「制度の趣旨自体は、利用者のプラン選択の幅を広げるという点で共感できる部分がある」としたうえで、「加入者ごとにセット割引や付帯サービス、契約条件が異なるため、単純に月額料金だけでは比較しにくい。実際にどの程度プラン変更が進むかは、施行後に見極める必要がある」と話した。