AI検索スタートアップのGlynが、企業向けAIアシスタントのコスト効率とセキュリティ対応を前面に打ち出している。The Informationが1日(現地時間)に報じたところによると、Glynは社内評価の結果として、自社AIアシスタントがAnthropicの「Claude CoWork」と比べ、トークン使用量と業務当たりコストの両面で大幅に低い水準だったと公表した。
同社が公表したのは、180以上の業務を対象にした比較結果だ。Glynによれば、自社アシスタントは「Claude Opus 4.8」などを用いて動作し、同一業務を実行した場合のトークン使用量は、Anthropicのアプリ「Claude CoWork」より70%少なかった。比較対象のClaude CoWorkは、「ハイリーズニング・モード」の「Claude Sonnet 5」で動作していたという。
1業務当たりの平均コストも、Claude CoWorkより81%低かったとしている。Glynは、業務の複雑さに応じて処理先モデルを切り替える独自のルーティングソフトウェアが、コスト抑制に寄与したと説明した。Anthropicはこの件について個別コメントを出していない。
Glynは、Intuit、Booking.com、Zillowなどの顧客企業向けに、「データコンテキストレイヤー」の構築を支援するツールを提供している。企業内データ同士のつながりをAIが理解できるようにする「エンタープライズグラフ」もその一部だ。
アービンド・ジャインCEOは、「コンテキストレイヤーは、AIが正しいデータを見つける検索プロセスのコストを引き下げる」と説明した。そのうえで、「昨年まではAIが複雑な作業を担う場面が限られていたため、コストは大きな問題ではなかった。しかし今は、AIがより複雑な業務をこなすようになり、処理時間も費用も増えている」と述べた。
5月時点で、Glynの年間経常収益(ARR)は3億ドル(約450億円)を超えた。企業向けAIエージェント市場では、大手クラウド事業者に加え、AnthropicやOpenAIとも競合しているという。
同社はあわせて、企業が従業員向けに適用しているセキュリティ基準やデータ保護環境の下でも、自社エージェントを運用できる点を訴求している。6月に投入したSlackベースのエージェントは、アプリケーション運用のため常時待機するエンジニアの業務を代替する。アプリケーション障害が発生した際には、原因特定に必要な情報を収集し、対応策を提示するという。
ジャインCEOによると、Glynはエージェントごとに個別のIDと認証情報を付与し、権限を持つデータにのみアクセスさせる仕組みの整備も進めている。「長時間稼働し、システム上で広い権限と実行能力を持つエージェントは、容易に制御の外に出てしまう」と述べた。