写真=Ethena

分散型金融(DeFi)プロトコルのEthenaは9月1日、ステーブルコイン「USDe」を使った決済サービス「Ethena Pay」のベータ版を開始した。Avalancheを単一の精算基盤に採用し、iOS向けのセルフカストディ型アプリとして提供する。対応はまず中南米、カリブ海、アジア、中東、アフリカ、オセアニアなど49カ国・地域で始め、米国や欧州連合(EU)、英国、カナダは今後の対応とする。

ブロックチェーンメディアのThe Defiantによると、Ethena PayはAvalancheを単一の精算レイヤーとして利用する。利用者は基盤となるブロックチェーンを意識せず、USDeの保有や送金、決済を行える設計だ。

ベータ版はセルフカストディ型のiOSマネーアプリとして提供する。アーリーアクセスの対象は当初400人で、Ethenaは9月中にベータ提供の範囲を毎週広げる計画としている。対応国・地域は中南米、カリブ海、アジア、中東、アフリカ、オセアニアを含む49カ国・地域。米国、EU、英国、カナダは現時点では対象外だ。

Ethena Payは、セルフカストディ型ウォレットに送金機能、法定通貨のオンランプ、Visaカードを組み合わせたサービス。Ethenaは、銀行や資産保管業者としてではなく、あくまでソフトウェアを提供する立場だと説明している。ウォレットの秘密鍵は利用者の端末に保存され、同社側でも復元できないという。カードはThird Nationalが発行し、Rainが運営する。利用対象は米国外の利用者に限る。

今回の狙いは、USDeの用途を投資や取引以外の決済分野へ広げることにある。Ava Labsは、アプリ内のデジタルドル残高をUSDeで保有し、送金や決済、精算はAvalanche基盤のエコシステム上で処理すると説明した。この構成により、利用者はチェーンの選択手続きを挟まずにUSDeを決済へ使えるようになる。

収益面では、年率で最大6%を提示した。ただし、これはUSDeの基本収益に、販促目的の「デイリーブースト」を加えた合計ベースの数値で、追加で一律6%を上乗せする仕組みではない。一般ユーザーは5000ドルまで合計5%、プロは1万5000ドルまで6%、VIPは5万ドルまで6%を適用する。上限を超えた分にはUSDeの基本収益のみを適用し、追加収益を受け取るには毎月1件以上のカード決済が必要となる。

Ethenaは、こうした優遇を「裁量的プロモーション」と位置付ける。支払いは日次でUSDe建てとなり、預金金利や保険付き商品として提供するものではない。必要に応じて引き下げや終了を行う可能性もあるとしている。

キャッシュバックは最大5%。一般ユーザーは月間2500ドルまで4%、プロは8000ドルまで4.5%、VIPは2万ドルまで5%を適用する。上限超過分にはより低い還元率を適用する。キャッシュバックはカード決済の精算後に算出し、付与時点の為替レートに基づいてAVAXで支払う。1ドル未満の取引は対象外で、暗号資産や証券の購入、ギャンブル、ギフトカード、個人間送金、アカウントチャージなども還元対象から外す。

このサービスは、Ethenaの担保戦略の見直しとも連動している。Ethenaはこれまで、暗号資産の現物と無期限先物の短期ポジションへの依存度が高かった。これに対し、足元では融資、実物資産(RWA)、ステーブルコイン、暗号資産以外を対象とするベーシス取引へと担保ポートフォリオを多様化していると説明している。先週には、株式連動型の無期限先物ベーシス取引を追加する計画も公表したが、実運用はまだ始まっていない。

Ethena Payの投入は、USDeを取引・投資中心の資産から、消費者向け決済インターフェースへ広げる取り組みといえる。一方で、立ち上がりは限定的だ。ベータ版は少人数から開始し、高めの収益率やキャッシュバックには会員区分ごとの上限と条件が設けられている。今後の普及ペースは、対応国・地域の拡大と報酬施策を維持できるかどうかに左右されそうだ。

Ethenaは今回の取り組みについて、「Ethena Pay製品群の唯一の精算レイヤーとして@avaxと提携する。数十億人の利用者に貯蓄・支出機能を提供するには、グローバル規模で標準的かつ使い慣れた金融体験を支えられるインフラが必要だ」としている。

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