OpenAIが、データセンター開発会社SB Energyに対して、主要顧客にとどまらず投資家としても深く関与している実態が明らかになった。SB Energyの上場申請書類によると、OpenAIはデータセンターの長期賃貸契約に加え、株式ワラントを保有しており、条件次第では取締役候補を1人指名できる可能性もある。
Business Insiderが9月1日(現地時間)に報じた。SB Energyは同日、Nasdaq上場に向けて米証券取引委員会(SEC)にS-1登録届出書を提出した。開示資料には、OpenAIとのデータセンター賃貸契約をはじめ、株式ワラント、ソフトウェア購入、知的財産に関する権利など、両社の幅広い取引関係が記載されている。
SB Energyは現在、テキサス州でデータセンターを開発している。オハイオ州パイク郡では、OpenAI向けの大規模データセンターキャンパス「PORTS-パイク・テクノロジー・キャンパス」を進めている。
計画中のAI向け計算能力は8ギガワット(GW)。NVIDIAが計算インフラを供給し、OpenAIがテナントとして施設を利用する。SB Energyがデータセンターを建設・保有・運営し、OpenAIとは20年契約を結ぶ。
SB Energyは上場書類の中で、OpenAIを中核テナントと位置付けた。その上で、OpenAIの財務状況や競争力、契約上の義務を履行する能力や意思に変調が生じた場合、事業に重大な悪影響が及ぶ可能性があると説明している。OpenAIへの高い依存度を、主要な事業リスクとして明示した格好だ。
◆ワラント評価額は55億ドル、条件次第で取締役候補の指名も
OpenAIはSB Energyの顧客であると同時に投資家でもある。SB Energyは2026年初め、OpenAIとの投資契約とデータセンター賃貸契約の締結に伴い、株式ワラントを付与した。
その評価額は発行時点で36億ドル(約5400億円)だったが、6月30日時点では55億ドル(約8250億円)に増加した。
さらにOpenAIは、SB Energy株を5%超保有した場合、取締役候補を1人指名する権利を持つ。SB Energyは、この関係が利益相反を招く可能性があるとも警告した。
具体的には、大口投資家でもあるOpenAIがテナントとして契約上の義務を果たさなかった場合でも、取締役会が厳格な対応を取りにくくなるおそれがあるという。テナントとしての立場と、ワラント保有者としての利害が一致しない可能性にも言及した。
両社の関係はソフトウェア分野にも広がっている。SB Energyは2028年までに、ChatGPT Enterpriseを含むOpenAIのサービスに少なくとも5000万ドル(約75億円)を支出することを約束しており、OpenAIは知的財産に関する一部の権利も確保した。
◆巨額赤字でもAIインフラ投資を継続
OpenAIは、AIの計算需要拡大に対応するため、NVIDIA、Google、Amazon、Oracle、AMDなどと大規模なインフラ契約を結んでいる。投資先と顧客の関係が重なる事例も増えており、AIインフラ市場における企業間の利害関係は一段と複雑になっている。
SB EnergyのIPOも、こうしたAIインフラ投資需要の急拡大を背景に進んでいる。ロイターによると、同社の2026年上半期の売上高は1億3870万ドル(約208億円)と前年同期比66.4%増だった。一方で、純損失は32億1000万ドル(約4820億円)に達した。
データセンター事業からの売上はなお立ち上がり途上にあり、今後は大規模データセンター事業を軸に成長基盤を築く戦略だとしている。
SB Energyは開示資料で、OpenAIとの関係に支障が生じた場合、資金調達の枠組みや開発の柔軟性が制限され、流動性や普通株の価値に重大な悪影響が及ぶ可能性があると説明した。OpenAIは成長のけん引役である一方、事業集中リスクを高める中核要因でもあるという位置付けだ。
今回の上場申請は、AI産業でデータセンター確保を巡る企業間の結び付きがどこまで複雑化しているかを示している。OpenAIが主要顧客であるだけでなく投資家としても関与し、NVIDIAも計算インフラの供給などで関わる構図となっており、各社の利害は一段と密接になっている。