Googleは、売上高や顧客数、天候など複数の時系列データをまとめて扱える多変量時系列予測モデル「TimesFM-3」を公開した。追加学習なしで新しいデータに適用できるゼロショット予測に対応するのが特徴だ。
TimesFM-3は、Googleが2024年から開発を進めてきた時系列予測の基盤モデルの最新版。従来の「TimesFM-2.5」までは主に単変量の時系列予測が中心だったが、TimesFM-3では複数の予測対象系列に加え、過去の補助系列や、将来時点で既知の予定・天候といった外生変数もあわせて処理できるようにした。
例えばアイスクリームの売上予測では、過去の販売量だけでなく、顧客数、今後の天候、販促日程を同時に入力できる。Googleが示した例では、過去の販促と売上の関係を踏まえ、今後のイベント日に売上が約20%増えると見込む結果が得られたという。ただし、これは実際の企業実績ではなく、モデルの動作を説明するための例として示されたものだ。
モデル規模は約3億3000万パラメータ。実データと合成データを組み合わせ、1兆超の時系列データポイントで事前学習した。タスクごとの追加のファインチューニングなしに複数系列の関係を捉えられるほか、将来区間全体を逐次生成せず、1回の順伝播で予測する非自己回帰方式を採用した。Googleは、これにより処理遅延や反復予測に伴う誤差の蓄積を抑えられるとしている。
性能評価には、GIFT-Eval、FEV-Bench、TIMEの公開ベンチマーク3種類を用いた。Googleによると、TimesFM-3は比較対象となった事前学習済みの時系列基盤モデルの中で、3ベンチマークすべてにおける点予測と確率予測の平均順位で最上位だった。単変量モードでも競合と同等以上の性能を示し、多変量モードではさらに性能が向上したとしている。
TimesFM-3は現在、GitHubとHugging Faceで公開している。ソースコードはApache License 2.0で提供する一方、事前学習済みモデルの重みには別途、非商用ライセンスを適用しており、商用サービスや本番環境ですぐに利用できるわけではない。Googleは今後数週間以内に、TimesFM-3をBigQueryに統合する予定だ。企業では、売上、需要、在庫、トラフィックなど相互に関連するデータを、別途モデルを学習させることなく予測する手法として活用が見込まれる。