ロシアのウクライナ侵攻を受け、アルミニウムや銅などの価格は大きく上昇した。写真=Shutterstock

英国の通信大手BTで、老朽化した銅線電話網の撤去に伴って回収する銅の価値が、20億ポンドを超える可能性が浮上している。光ファイバー網への移行で役目を終える旧インフラが、銅市況の上昇を背景に新たな収益源となりつつある。

Engadgetが9月1日付で報じたところによると、BTが回収する銅の価値は、従来見込んでいた約15億ポンドから一段と膨らむ可能性がある。人工知能(AI)向けデータセンターの拡大に加え、再生可能エネルギー投資や電化需要の拡大で世界的に銅需要が高まり、価格上昇が続いていることが背景だ。今後10年で需要が大幅に増えるとの見方も、回収銅の評価額を押し上げている。

BT子会社のOpenreachは、銅線ベースの既存通信網を光ファイバー網に切り替える作業を進めている。2030年末までに3000万世帯を光ファイバーに接続する計画だ。この過程で、直近の会計年度には約1万メトリックトンの銅を回収した。2023年以降の累計回収量は2万2000メトリックトンを超えている。

回収した銅はすでに収益化が進んでいる。BTはケーブルリサイクル企業EMRと契約し、回収銅を販売している。直近の回収分については、9900万ポンド(約163億円)の前受け金を受け取った。老朽通信網の撤去にとどまらず、廃棄予定だった設備を現金化している格好だ。

Openreachのサステナビリティ責任者、アビー・チキンは、銅を「現代経済で最も戦略的な素材の一つ」と位置付けた。AIデータセンターや電力インフラの拡大が続くなか、通信網の更新で生じる回収銅も重要な資産としての性格を強めている。

一方、銅価格の上昇は副作用も招いている。価値の高まった古い有線電話ケーブルが窃盗の標的となり、地域によってはケーブルが丸ごと盗まれて通信が途絶える事例も出ている。Openreachは対策として、一部ケーブルに合成DNAと紫外線による追跡表示を施した。

BTの旧式銅線網は、光ファイバー移行の進展とともに表舞台から姿を消しつつある。一方で、撤去に伴って回収される銅の経済価値はむしろ拡大しており、銅高が続けば関連収益は当初想定を上回る可能性がある。

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