Binanceは、米国外の適格利用者を対象に、米国株とETF約1000銘柄のオプション取引の提供を開始した。暗号資産に加え、株式デリバティブ分野にもサービス領域を広げる。
商品はBinanceの単一口座で利用でき、実物受け渡し方式を採用する。権利行使時には現金決済による差額精算ではなく、原資産となる株式を実際に受け渡す仕組みだ。
提供は、アブダビで規制を受けるBinance系ブローカーディーラーのNest Tradingを通じて行う。注文執行、清算、決済、保管は、米国登録の証券会社Alpaca Securitiesが担う。
Binanceはすでに、7000超の米国株・ETF関連商品を展開している。今回のオプション追加により、伝統的金融商品のラインアップをさらに広げた格好だ。
今回の商品の特徴は、株価連動型の無期限先物とは異なり、実物受け渡しを前提とする点にある。単に価格変動へのエクスポージャーを提供する商品ではなく、伝統的な証券デリバティブに近い設計となっている。
Binanceによると、同社プラットフォーム内では伝統的金融商品の取引が急増している。特に伝統的金融分野の無期限先物の取引高は、8月に約4330億ドルとなり、1月比で約15倍に拡大した。今回のオプション投入も、こうした需要増を踏まえた対応とみられる。
市場全体でも同様の動きが広がっている。暗号資産取引所や従来型ブローカーは、トークン化株式や海外株へのアクセス拡大を進めており、オンチェーン株式市場も急成長している。
RWA.xyzによると、トークン化株式の分散型の価値総額は約26億ドルで、1年前の約3億4600万ドルから大幅に増加した。直近30日間の移転取引高は93%増の251億ドル、保有者数は157%増の約250万人だった。
競合各社もサービス拡充を急ぐ。Coinbaseは先週、Base上でB20トークン化株式を公開し、米国外の適格利用者向けにApple、NVIDIA、Meta、Alphabetなどのオンチェーン株式を24時間提供し始めた。これらの資産は売買に加え、担保付き貸し付けなどDeFiプロトコルでの活用も想定している。
Krakenも8月、欧州の適格顧客を対象に、米国上場株約7000銘柄へのアクセスを開放した。商品は、同社が拡充を進めるトークン化株式商品群「xStocks」とあわせて提供している。Robinhoodは7月、Robinhood Chainとともに、120カ国以上の適格利用者向けに新たな株式トークン商品を投入した。
Binanceの今回の取り組みは、暗号資産取引所がデジタル資産の売買にとどまらず、株式やデリバティブまでを単一口座で提供する方向へ事業領域を広げていることを示す。とりわけ米国外の利用者を軸に、規制対応を踏まえた証券アクセスモデルが増えており、今後は取引所とブローカーの役割分担が一段と広がる可能性がある。