写真=ChatGPT

フィンテックが先行してきた国境間決済市場で、銀行が再び存在感を強める可能性が出てきた。口座インフラと預金基盤、規制対応力、顧客からの信頼といった既存の強みを生かし、主導権を取り戻せる余地があるという。背景には、Swiftの決済スキーム刷新や各国の即時決済網の国際接続がある。

1日付でITメディアのTechRadarに寄稿したテラペイの上級コンサルタント、ジョン・ロドリゲス氏は、「銀行はもはやウォレット系フィンテックを追いかけるだけの存在である必要はない」と指摘した。銀行には、口座と預金、規制の枠組みの中で培ってきた信頼という資産があるためだ。

象徴的な動きが、Swiftの決済スキームだ。60以上の金融機関が参加し、国際送金時の手数料や為替レートの事前開示、中継過程での差し引きなしで送金額を全額着金させる仕組み、エンドツーエンドでの追跡性の確保を目指している。

さらに、各国の即時決済網と接続することで、対象区間ではリアルタイム決済の実現も後押しする。

銀行の最大の強みは、決済の出発点と着金先となる口座を自ら保有している点にある。フィンテックや電子ウォレットが取引の入口を握っても、資金の多くは最終的に、規制下にある銀行の預金口座に流れ込む構図は変わらない。

この既存口座を海外のウォレットや現地の決済網に直接つなげば、複数のコルレス銀行を介する従来型の送金よりも、取引の可視性や管理性を高められる可能性がある。

ISO 20022への移行も重要な要素だ。Swiftは昨年11月から、国境間の支払指図におけるグローバル標準としてISO 20022を採用している。従来のメッセージ形式よりも多くの構造化情報を載せられるため、自動処理や規制順守、顧客向けのトラッキング機能で有利とされる。

市場自体も拡大している。世界銀行の推計では、世界の送金額は2024年に9050億ドルとなり、前年から約4%増えた。個人送金に加え、企業間決済やプラットフォーム経由のクリエイター、フリーランス向け支払い、中小企業の海外取引も広がっている。

大手銀行も対応を進める。Bank of Americaは、Swiftと自社プラットフォーム「CashPro」を活用した国境間リアルタイム決済サービスを発表した。

もっとも、こうした機会がすべての銀行に等しく開かれているわけではない。地域銀行や中小銀行にとっては、即時決済網への接続やISO 20022対応システムの整備にかかるコストが重荷となる。既存の信頼と口座インフラを、実際のデジタル決済の競争力へ転換できるかが、今後の焦点となる。

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