Teslaで9月、「Cybercab」「Semi」「次世代Roadster」の3製品が相次いで注目を集める可能性が出ている。もっとも、いずれも完全な新規案件ではなく、過去に公開や発売予告があったモデルだ。市場の関心は新製品発表そのものより、実際の投入時期や供給能力、これまでの公約をどこまで履行できるかに向けられている。
米EVメディアのElectrekが1日付で報じたところによると、Teslaは3日にCybercabを発売する予定だという。月末には電動トラック「Semi」の公式発売イベントも予定されていると伝えられた。さらに、Teslaのチーフデザイナー、フランツ・フォン・ホルツハウゼン氏が次世代Roadsterについて「非常に近いうちに」発売すると述べたことで、9月中の公開観測も浮上している。
まず注目されるのがCybercabだ。ハンドルもペダルも持たない2人乗りの完全自動運転ロボタクシーとして開発された。Teslaは2024年にCybercabを公開したが、完全自動運転車を使ったロボタクシー構想そのものは、それ以前から長く打ち出してきた。
イーロン・マスクCEOは2016年、完全自動運転ソフトウェアを購入した車両オーナーが、自身の車を自動運転タクシーとして運用し、収益を得られる構想を示していた。当時、Teslaはこれを「Tesla Network」と呼んでいた。その後、呼称はロボタクシーへと変わったが、現在の構想はTeslaが直接運営する形に近づいている。
一方で、一般ユーザーが自家用車を同様の形で自動運転タクシーとして活用できる段階には、なお至っていないとの指摘がある。
Cybercabを巡っては、技術の完成度も大きな論点だ。前提となるのは完全な無人走行だが、一般ユーザー向けの完全自動運転ソフトウェア、ロボタクシー向け専用版のいずれについても、常時無人運行が可能な水準には達していないとの批判が続いてきた。
このため、ハンドルとペダルを完全に省いたCybercabが、実際にどこまで常時無人運行を実現できるのかが、今回最大の注目点となりそうだ。
Semiは、Teslaが長年発売を先送りしてきた代表的な製品の1つだ。2017年に初公開され、当時は2020年の発売が予告されていた。Teslaはディーゼルトラックに比べ、総保有コストの面で競争力を持てると訴え、貨物輸送市場の変化を予告していた。
ただ、実際の生産と供給拡大は当初計画を大きく下回った。初納入は2022年末で、PepsiCoとFrito-Layに引き渡されたが、その後も生産量は限られていた。専用の量産ラインから最初の車両が出荷されたのは、今年になってからだ。
9月に公式発売イベントが別途予定されていることで、Semiが本格的な量産段階へ移行できるかにも関心が集まっている。
3製品の中で最も不透明感が強いのが次世代Roadsterだ。Roadsterも2017年、Semiとともに初公開された。マスク氏は当時、内燃機関の高性能スポーツカーに対抗するモデルになると強調していたが、2026年現在も明確な発売日程は示されていない。
当初は8月にデモ実施の可能性も取り沙汰されたが、実際にイベントは開かれなかった。発売時期もこれまでに何度も延期されてきた。
RoadsterにはSpaceXとの協業構想も盛り込まれている。マスク氏は過去、車両性能を高める「SpaceXパッケージ」に言及したほか、車が浮いたり飛んだりする可能性を示唆する発言もしていた。
ただ、こうした機能が量産車に実際に適用されるのか、どのような形で実装されるのかは確認されていない。ホルツハウゼン氏の「非常に近いうちに」という最近の発言で期待は高まっているものの、具体的な公開日程や量産計画は依然として示されていない。
こうしてみると、9月のTeslaイベントの意味は単なる新製品発表にはとどまらない。Cybercabは2016年から続くロボタクシー構想の具体化であり、Semiは2017年の公開後も生産拡大が遅れてきたモデルだ。Roadsterもまた、長期にわたり発売が後ろ倒しになってきた案件に当たる。
加えてマスク氏は最近、完全自動運転ソフトウェアの道路のくぼみ回避機能についても「もうすぐ出る」と言及しており、長期間にわたり予告にとどまっていた機能や製品が再び注目を集めている。
9月の焦点は、製品発表そのものではなく、実際の実行時期と供給能力、そして従来の約束を履行できるかどうかにある。とりわけ、Cybercabの常時無人運行がどこまで可能になるのか、Semiが量産をどの水準まで拡大できるのか、次世代Roadsterの実車公開と発売日程が示されるのかが、今後の主要な判断材料になりそうだ。