8月の暗号資産業界では、主要ハッキングの件数が前月から大幅に増えた。一方で、大型案件の規模が縮小したため、被害総額は半減した。
ブロックチェーンメディアのU.Todayが1日、PeckShieldAlertのデータとして報じたところによると、8月に確認された主要な暗号資産ハッキングは50件だった。7月の30件から約67%増加した。
一方、流出額の合計は1億3630万ドルだった。7月の約2億7000万ドルに比べて49.5%減少し、件数の増加とは対照的な動きとなった。
8月の被害総額は、大型の単発案件に大きく左右された。最大の被害はTectonic Financeで、流出額は約7400万ドルに上った。月間被害総額の半分超を占める規模だ。
PeckShieldはこのTectonic Financeの事案を、年初来で4番目の規模となる暗号資産盗難と位置付けた。Drift、KelpDAO・LayerZero、Coldcardのウォレット悪用に続く大型事例の一つとみている。
ただ、Tectonic Financeへの攻撃では、盗まれた資金の大半は外部への持ち出しが限定的だったとされる。資金の多くはエコシステム内に残り、Kronosがチェーンを停止する前に外部チェーンへ移されたのは約600万ドルにとどまった。その後、攻撃者は移動可能な資金の一部について資金洗浄を始め、一部資産をビットコインに転換したと集計された。
大型案件以外でも、中小規模のハッキングは相次いだ。Term Labsは約850万ドル、Moonwellは約870万ドルの被害を受けた。Coinsbuyは約790万ドル、TACは約750万ドルを失った。
このほか、Injectiveは約480万ドル、Mantraは約360万ドルの被害となった。BounceBit、Cosmos Labs、Archiverでも、それぞれ約300万ドル、287万ドル、247万ドル規模の事案が発生した。
8月の統計で目立つのは、ハッキング件数と被害額の乖離だ。被害総額だけを見れば、7月よりセキュリティ状況が改善したようにも映る。しかし、主要ハッキング件数は30件から50件へと大きく増えており、攻撃の頻度自体は高まった。
1件当たりの被害額が小さくなっていても、暗号資産プロジェクトやサービス全体では脆弱性が露呈する場面が増えたことを意味する。8月は特定の大型案件に被害が集中したというより、複数のプロジェクトで中小規模の攻撃が同時多発的に起きた点が特徴だった。
今回の統計は、被害額の減少だけで暗号資産業界のセキュリティリスク低下を判断するのは難しいことを示している。大型ハッキング1件当たりの規模は縮小したものの、主要ハッキングそのものは1カ月で大幅に増えたためだ。
今後は、大規模な単発事件の再発有無に加え、複数プロジェクトで同時に生じる脆弱性をどこまで迅速に発見し、封じ込められるかが業界の課題となりそうだ。