GoProは1日(現地時間)、非上場フォトニクス企業のStarman Opticalと最終合併契約を締結したと発表した。AIデータセンター向け光トランシーバや防衛分野に事業領域を広げるのが狙い。既存株主には総額2億8500万ドルを現金で交付し、統合後もNasdaq上場を維持する。
CNBCなどによると、発表を受けてGoPro株は急伸した。取引発表後に一時50%超上昇し、1.33ドルまで上げる場面があった。買収価格に相当する1株1.14ドルを上回った。
取引条件では、Starman Opticalが統合後のGoPro株式の90%を取得し、既存のGoPro株主は残る10%を保有する。既存株主への交付額は1株当たり1.14ドル。取引は年末までの完了を見込む。
Starman Opticalは、米国でAIデータセンター向けの光トランシーバを手掛ける非上場企業。光トランシーバは、ネットワーク機器で光によるデータ伝送を可能にする部品を指す。
統合後は、Starman Opticalの光トランシーバ事業をGoProの事業ポートフォリオに組み込み、一部の主要光学機器については米国内生産への切り替えも進める方針だ。具体的な時期は明らかにしていない。
GoProは今回の統合を機に、消費者向けアクションカメラ中心の事業構成からの脱却を進める。光学・イメージング技術を軸に、商業分野、防衛分野、AI市場へ展開を広げる考えで、光学・イメージング関連で2500件超の米国特許を保有しているとしている。
GoProのCEO、ニコラス・ウッドマン氏は「今回の合併により、GoProは消費者向け、商業向け、防衛分野で成長機会を広げられる。カメラ、光学、AIインフラにまたがる国家安全保障関連分野を視野に入れた、米国のイメージング・光学ソリューション企業として成長していきたい」とコメントした。
Starman Opticalも、GoProの光学技術と知的財産、Starman Opticalの光トランシーバ技術および米国内生産基盤を組み合わせることで、主要部品の米国内生産を拡大する方針を示した。
GoProは取引完了と同時に、既存債務9200万ドルを返済する予定。統合後も、既存の消費者向け製品とサブスクリプション・クラウドプラットフォームの支援は継続しつつ、成長投資と製品の多角化を進めるとしている。
今回の取引は、GoProの長期的な業績低迷と財務悪化が続く中で打ち出された。GoProは2014年に1株38ドルで上場したが、中国の競合DJIやインスタ360との競争激化を受け、株価は約96%下落した。
2014年末に6億3391万ドルあった四半期売上高は、直近の6月四半期にはピーク時から8割超減少した。AIインフラ投資の拡大に伴うメモリ半導体価格の上昇もコスト負担を押し上げ、GoProは6月、継続企業の前提に重大な疑義があると警告していた。
主要株主の持ち分にも関心が集まっている。7月13日の開示によると、YouTuberのマーク・フィッシャーバッハ氏がGoPro株の8.5%を保有し、筆頭株主となった。BlackRockも6.4%を保有していると開示している。
GoProは4月、防衛・航空宇宙分野のコンサルティング事業に参入する方針を明らかにしていた。今回の合併により、AIデータセンター、光学部品、防衛分野へ対象領域を広げ、消費者向け事業への依存を引き下げる狙いがあるとみられる。
一方で、GoProは消費者向け事業を維持する方針も示しており、アクションカメラ事業を全面的に手放すわけではない。統合後、光学技術と米国内生産基盤を生かしてAI・防衛分野でどこまで売上を積み上げられるかが、事業転換の成否を左右しそうだ。