NEXTHは、Onestoreの買収を通じて確保したゲーム流通基盤を海外へ広げるとともに、決済・取引までを一体化した収益モデルの構築に乗り出した。122カ国でゲーム配信サービス「Onestore Global」を開始し、D2C決済プラットフォーム「OneShop」も同時に展開。AIゲームやブロックチェーンゲームを呼び込み、既存アプリマーケットとの差別化を図る。
業界によると、Onestoreは8月31日、北米、中南米、アジアなど122カ国でOnestore Globalの提供を始めた。初期コンテンツ数は約1000本。あわせて、既存のWeb決済機能とNEXTHのCrossShopを統合したD2C(消費者直接販売)決済プラットフォームOneShopも投入した。
焦点は、展開国数やコンテンツ本数そのものではなく、両サービスをどう接続するかにある。Onestore Globalがゲームとユーザーを集める流通基盤だとすれば、OneShopはその利用を課金・決済へとつなげる役割を担う。
NEXTHは、自社で構築してきたメインネット、ウォレット、Web決済などをOnestoreに組み込み、ゲーム流通から決済、取引までを単一のエコシステムで回す構想を進めている。
◆AI・ブロックチェーンゲームで差別化
Onestore GlobalがGoogle PlayやApple App Storeと総合アプリマーケットとして真正面から競うのは容易ではない。このためNEXTHは、流通面で制約を受けやすいブロックチェーンゲームと、拡大が見込まれるAIゲームを先行して取り込む戦略を打ち出した。
Onestore Globalは、一般ゲームとブロックチェーンゲームに同一の審査基準を適用する。利用するブロックチェーンネットワークやウォレットの種類にも制限を設けず、開発会社は1つのビルドで122カ国に同時配信できるとしている。
暗号資産やトークンと連動するゲームに個別ポリシーを適用してきた既存アプリマーケットとの差を打ち出し、ブロックチェーンゲームの取り込みを狙う。既存ストアと同じコンテンツだけでは新規マーケットを選ぶ理由は乏しいが、他では見つけにくいゲームをそろえられれば、初期ユーザーの流入を促せるとの判断だ。
インストール不要で利用できるAI生成ゲーム群「AI Games」も、9月中にOnestore Globalへ適用する予定だ。生成AIゲームを専門コーナーに集約し、AIゲームの主要流通チャネルとしての位置付けを狙うとみられる。
もっとも、受け入れ対象を広げるだけで競争力が生まれるとは限らない。初期ラインアップの約1000本が実際のインストールや利用につながるか、AIゲームとブロックチェーンゲームがどの程度の比重を占めるかが、差別化戦略を見極める材料になる。
◆流通から決済へ、OneShopが収益化を担う
OneShopは、Onestore Globalで獲得したゲームとユーザーをNEXTHの収益につなげる中核サービスとなる。ゲーム会社がアプリマーケットのアプリ内課金を介さず、Web上でユーザーにアイテムを直接販売できるD2Cチャネルとして、韓国、米国、日本、台湾など7カ国で提供する。
ゲーム会社は、決済代行会社(PG)費用を除き、手数料5%でアイテムを販売できる。既存のOnestoreアプリ内課金仕様を活用するため、追加のゲームビルドなしでOneShopを導入できる点も特徴だ。
Onestore Globalがユーザーを獲得できれば、ゲーム内やOnestoreアプリ経由でOneShopへ送客できる。ゲーム会社は決済コストを抑えられ、OnestoreはWeb決済に伴う手数料収入を得る構図になる。
NEXTHがOnestore買収で狙ったのも、この流通と取引の接続だ。ゲーム配信手数料や決済手数料にとどまらず、アイテム取引やWeb決済が発生するたびに反復的な収益を積み上げる構えだ。
成否を左右するのは取引規模である。掲載タイトルが増えても、ユーザーが実際にアイテムを購入しなければOneShopの収益は生まれない。Onestore Globalの成果を測るうえでは、展開国数よりも月間利用者数、OneShop導入ゲーム数、取引額といった指標が重要になる。
◆名称を「ONE」に統一、経済圏形成が課題
NEXTHはOnestore買収後、ブロックチェーン関連サービスの名称も「ONE」に再編した。メインネット「CROSS」は「ONEchain」に、ネイティブトークン「CROSS」は「ONE」に、共通決済手段「CROSSD」は「ONEUSD」にそれぞれ改称した。
狙いは、OnestoreとNEXTHのブロックチェーンサービスを単一事業として接続することにある。Onestore Globalがゲームを流通させ、OneShopがWeb決済を担い、ONEchainとウォレット、ステーブルコインをゲーム内資産や取引へ段階的に結び付ける構想だ。
ただ、名称を統一しただけで各サービスが直ちに単一の経済圏として機能するわけではない。Onestoreのユーザーが実際にONEchain基盤のゲームやウォレット、決済手段を利用して初めて、ブランド統合が事業成果につながる。
Hyung-guk Chang NEXTH代表は、既存のアプリ・ゲーム流通手数料が月100億ウォン前後である一方、ゲームアイテム取引手数料は月1億〜2億ウォン規模にとどまると明らかにしている。アイテム取引を新たな収益の柱に育てるには、取引規模を大きく拡大する必要がある。
収益性の立証も今後の課題だ。Onestoreの2025年売上高は1133億ウォン、営業損失は約96億ウォンだった。チャン代表は、Onestoreの月次損益分岐点の達成時期を9月と見込んでいる。
NEXTHも2026年4〜6月期に売上高58億ウォン、営業損失53億ウォンを計上した。当期純利益は81億ウォンだったが、Onestore買収の過程で発生した一過性利益157億ウォンを反映した結果だ。7〜9月期からはOnestoreの業績が連結財務諸表に本格反映されるため、Onestore GlobalとOneShopには事業領域の拡大にとどまらず、損益改善に寄与する新たな収益源としての定着が求められる。
最終的に「ONE」戦略の初期評価を左右するのは、122カ国展開や約1000本のコンテンツ確保ではなく、流通が実際の取引につながるかどうかだ。グローバルユーザーをOneShopの決済やブロックチェーンゲームの取引へ誘導し、Onestoreの月次黒字転換まで実現できて初めて、Onestore買収はNEXTHの新たな成長基盤として評価されることになりそうだ。
業界関係者は「Onestore Globalの成果は、展開国数やコンテンツ数ではなく、実利用者数と決済転換率で判断される」としたうえで、「OneShopとブロックチェーン取引が反復売上につながってこそ、NEXTHのプラットフォーム統合戦略も事業として意味を持つ」と話した。