Teslaのイーロン・マスクCEOは、同社の「FSD(Full Self-Driving)」にポットホール回避機能を近く追加する考えを示した。ただ、同機能は2019年にも導入が示唆されており、実装時期にはなお不透明感が残る。
米EV専門メディアのElectrekによると、マスク氏は8月31日(現地時間)、X(旧Twitter)上でFSDに関するユーザー投稿に「coming soon」と返信した。投稿は「FSDがポットホールを回避できるようになってほしい」と求める内容だった。
ポットホールは米国の道路で広く見られる危険要因の一つだ。タイヤの摩耗を早めるほか、ホイールの損傷や事故につながる恐れもある。
FSDがポットホールを認識し、車線変更や車線内での位置調整によって回避できれば、日常走行での安全性や利便性の向上が期待される。
もっとも、今回の発言は新たな計画というより、過去の説明の繰り返しに近い。マスク氏は2019年にも、同機能の導入に言及していた。
その後もTeslaはポットホールを含む路面情報を収集してきたとされるが、2026年時点でFSDに同機能が正式に導入されたことは確認されていない。現行のFSDアップデートでも、ポットホール回避は今後の改善項目として挙げられている。
FSD自体はここ数年で機能を大きく拡充してきた。現在は高速道路と一般道での走行支援に加え、目的地到着後の駐車まで対応するとされる。
一方でFSDは、運転者の継続的な監督を前提とする運転支援システムにとどまっており、実走行では予期しない不具合が生じる可能性も残る。
ポットホール回避が難しい背景としては、Teslaのカメラ中心の認識方式も指摘される。カメラでポットホールを捉えられても、回避のための車線変更や車線内の位置調整を安定して実行することは別の課題だからだ。
Teslaが路面情報を継続的に収集してきたにもかかわらず、回避機能の実装に至っていない点を疑問視する声もある。
今回の発言は、Teslaがロボタクシー事業の拡大を控える時期に出たことでも注目を集めている。Teslaは9月3日、米テキサス州オースティンで、ハンドルとペダルを備えない「Cybercab」の発表を予定している。
Cybercabは完全自動運転を目標に設計されたロボタクシーで、Teslaがオースティンで展開するロボタクシーサービスとの連携が想定されている。
Teslaは無人ロボタクシーの運行拡大を進めているが、サービス提供地域や運用範囲は依然として限定的とされる。競合のWaymoは複数都市で完全自動運転サービスを展開しており、技術競争は続いている。
Tesla株は今回の発言を受けて上昇した。8月31日の株価は5.5%高となり、市場ではマスク氏のFSD関連発言やCybercabへの期待が買い材料になったとの見方が出た。
ただ、株価上昇をポットホール回避機能の示唆だけで説明するのは難しい。
焦点は、マスク氏のいう「coming soon」が実際にいつソフトウェア更新として提供されるかだ。2019年にも同機能が予告されていた経緯を踏まえると、今回は実装の有無と実際の性能が、Teslaの自動運転技術に対する信頼性を占う材料になりそうだ。