Ericssonは1日、5Gスタンドアロン(SA)と5G Advancedを、AI時代の通信インフラと6Gへの進化を支える中核基盤と位置付ける方針を示した。フィジカルAIの普及でアップリンク需要が大きく伸びると見込み、性能を保証できる知能型ネットワークへの移行を進める考えだ。
Ericsson Koreaは同日、ソウルのモナコスペースで「Ericsson Innovation Day 2026 Korea」のメディアブリーフィングを開催し、AI時代に向けたネットワーク進化の方向性に加え、AI-RANや通信・センシング統合(ISAC)の戦略を明らかにした。
Ericsson Koreaのシベル・トンバズ代表は、モバイル通信の接続対象が今後、機器中心から知能へと広がるとの見方を示した。フィジカルAIへの転換が進むなか、AIやAIエージェント、機器間接続を支えるネットワークの役割は一段と重くなると強調した。
同社は、AIの普及に伴ってネットワークトラフィックの構造も変化するとみている。これまでモバイルネットワークは主にダウンリンク性能の向上を軸に発展してきたが、AIグラスやロボット、自動運転の広がりによって、ネットワーク側へ大量のデータを送るアップリンク性能の重要性が高まるという。
トンバズ代表は「2030年までにアップリンクトラフィックは現在の3〜5倍に増える見通しだ」と述べ、「ネットワーク設計でアップリンクを後回しにすることはできない」と指摘した。
AIサービスでは用途ごとに求められる通信性能も異なる。フィジカルAIやロボット分野では、短く予測可能な遅延と高い信頼性が不可欠で、Ericssonはネットワークスライシングなどを活用し、サービス別に一定水準の性能を保証する「差別化接続性(Differentiated Connectivity)」の重要性を訴えた。
通信事業者の収益モデルについても、データ使用量中心から、サービスの成果や品質に応じた形へ移行すると見通した。トンバズ代表は「消費者は単にデータに対価を払うのではなく、望む結果を得るために支払うようになる」と述べ、世界の通信事業者が差別化接続性を通じて追加収益を生み出し、課金モデルの見直しを進めていると説明した。
その実現の中核技術として同社が挙げるのが5G SAだ。5G SAを基盤にネットワークスライシングや品質保証技術を実装することで、AIサービスごとに遅延、アップリンク速度、安定性などを差別化できるためだ。
Ericssonでネットワークポートフォリオを統括するマテオ・フィオラニ氏は、「AIモデルやサービス事業者向けに専用の接続性を提供し、収益化につなげるには5G SAへの移行が必要になる」と説明した。5Gノンスタンドアロン(NSA)や既存ネットワークでは、こうした機能への十分な対応は難しいとの認識も示した。
AI-RANについて同社は、特定製品や特定のAIアクセラレータに依存する概念ではなく、無線アクセスネットワーク全体にAIを適用するアーキテクチャだと定義する。AIによってネットワーク自体の性能、エネルギー効率、運用効率を高める一方、AIアプリケーションが求める接続品質の提供も狙う。
フィオラニ氏は「ロボティクスはAIアプリケーションの中でも特に厳しい遅延要件を持つ」と述べ、必要なインテリジェンスをネットワーク、エッジデータセンター、無線サイトに効率的に配置する重要性を指摘した。
ハードウェア面では、自社シリコンやAI対応無線機、大規模多入力多出力(Massive MIMO)を強みとして打ち出した。AI推論がネットワークの各所で実行されるほど、マイクロ秒単位の処理を支えるシリコンとネットワーク最適化技術の重要性は増すとしている。
次世代ネットワークの主要技術としては、通信とセンシングを統合するISACも挙げた。ネットワークの電波を活用し、通信網に直接接続されていない人や物の動きも検知できる技術で、交通、産業現場、重要インフラ、ドローン分野などでの活用を想定する。
フィオラニ氏は「ISACは、接続されていない対象まで検知できる点でゲームチェンジャーになり得る」と述べた。個人情報保護については「通信セキュリティと同水準の厳格な個人情報保護ポリシーを適用し、議論を進めている」と説明した。
Ericssonは、こうした進化が6Gで突然実現するのではなく、5G SAと5G Advancedを経て段階的に進むとみている。
トンバズ代表は「差別化接続性と6Gにつながる技術リーダーシップを基に、Koreaのパートナーが新たなビジネス機会を創出できるよう支援していく」と述べた。