SECとCFTCは暗号資産関連規則の見直しを進めている。写真=Reve AI

米証券取引委員会(SEC)と米商品先物取引委員会(CFTC)が、暗号資産デリバティブとカストディ(資産保管)規制の見直しを並行して進めている。焦点となっているのは、無期限先物など新たな商品の所管区分と、デジタル資産の保管に関するルール整備だ。これに対し、両機関の元高官らは、重複規制が市場参加者の負担を増やしかねないとして懸念を示している。

ブロックチェーンメディアのDecryptが8月31日(現地時間)に報じたところによると、SECとCFTCは、議会で「Clarity」法案の審議が進まない中、暗号資産デリバティブの定義や所管の線引き、デジタル資産の保管ルールの見直しを先行して進めている。

論点の1つは、スワップや証券ベース・スワップ、無期限先物といった商品をどう分類し、SECとCFTCのどちらが監督するのかという点だ。両機関は6月、こうした商品の定義と、それぞれの所管範囲に関する意見募集を始めた。

これに対し、元SEC・CFTC高官らは共同意見書で、商品特性とリスクに応じた規制体系を採るべきだと提言した。重複規制によってコンプライアンスコストを不必要に押し上げるべきではないとも訴えている。意見書にはクリス・ジャンカルロ、ブライアン・クインテンズ、シャロン・ブラウン=フルスカ、スティーブン・ウォルマン、チェスター・スパットらが名を連ね、投資家保護と米市場の競争力維持は党派を超えた課題だと強調した。

こうした制度論の背景には、CFTCが暗号資産の無期限先物を米市場に取り込もうとする動きもある。ドナルド・トランプ米大統領は今月初め、マイケル・セリックCFTC委員長が、海外の無期限先物プラットフォーム「Hyperliquid」の米国導入を進めていると明らかにした。

また、予測市場プラットフォーム「Kalshi」は年初、暗号資産の無期限先物商品を投入した。同社は、2025年の海外無期限先物取引の規模が90兆ドルを超えたと推計している。これは2年前の約28兆ドルから大きく拡大した水準だという。

SECはこれとは別に、暗号資産カストディ規則の改定作業も進めている。先週には、投資助言会社と投資会社に適用されるカストディ規則の改定案を、ホワイトハウス傘下の情報規制審査局(OIRA)の審査に付した。

改定の柱は、SECの監督下にある投資会社が、連邦証券法を順守しながらデジタル資産のカストディを扱う際のルールを明確にすることにある。特に投資助言会社については、顧客資産の保護や会計基準を満たす適格カストディアンの利用が求められるため、どの事業者が暗号資産の保管を担えるのかが業界の関心を集めている。

今回の見直しは、3年前にゲーリー・ゲンスラー前SEC委員長が主導した規則案とは方向性が異なる。当時の案は、既存の助言会社向けカストディ要件を事実上あらゆる顧客資産に拡大し、暗号資産も対象に含める内容だった。一方、アトキンス体制のSECは昨年、この提案を撤回した。

このほか、SECの「Reg Crypto」提案も連邦官報に正式掲載され、10月20日まで意見募集が行われている。同案には、一部の暗号資産の発行に関する新たな基準の策定が盛り込まれた。米規制当局がデリバティブの所管、カストディ、発行ルールを同時に見直すことで、暗号資産を米国内の制度枠組みにどう組み込むかを巡る議論は、さらに加速しそうだ。

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