米証券取引委員会(SEC)が、投資会社が販売する未上場株投資商品の実態把握に乗り出した。OpenAIやAnthropicといった有力な未上場AI企業への投資需要が拡大する中、商品が実際に基礎資産を裏付けとして保有しているかどうかを確認する狙いがある。
ブロックチェーンメディアのCryptopolitanが9月1日(現地時間)に報じたところによると、SECは登録投資助言会社に対し、各社が組成・運営する特別目的会社(SPV)がうたう未上場株の持分、または関連するエクスポージャーを実際に保有していることの立証を求めた。
SPVは、複数の投資家から集めた資金で未上場企業の持分などに投資する仕組みを指す。上場市場では直接投資しにくい企業にもアクセスできるため、足元のAI投資ブームでは主要な投資ルートの一つとして存在感を増している。
スタンフォード大学の「2026年AIインデックス」によると、2025年の世界の民間AI投資額は前年比127.5%増の3447億ドルに達した。このうち生成AI関連だけで1709億ドルを占めた。
問題となっているのは、投資家が最終的にどの資産に対する権利を持つのかという点だ。未上場株への関心の高まりを受け、特定企業の持分やエクスポージャーを持つとうたう商品は増えている一方、実際の基礎資産との関係が不透明な事例も出ている。
OpenAIとAnthropicは、こうした未承認取引についてすでに警告を発している。OpenAIは、株式の直接売却に加え、SPV持分やトークン化持分、先渡し契約などを通じて、同社に関連する未承認のエクスポージャーが販売されているとの認識を示してきた。
そのうえでOpenAIは、こうした取引で取得した権利を同社が認めない可能性があり、投資家にとって経済的価値を持たない場合があると警告している。
Anthropicも、同社株式の譲渡には取締役会の承認が必要であり、SPVによる同社株式の取得は認めないと公表した。特定のAI企業への投資機会を掲げる商品であっても、実際に有効な基礎持分を伴っているかは別途確認が必要になる。
SECはすでに、同種の問題に対して執行措置を講じている。8月10日には、Addit Ventures Managementと最高経営責任者(CEO)のエリック・マンソンらを、投資家を欺いた疑いで提訴した。
この事案では、SpaceXやKlarnaなど未上場企業の持分を保有しているかのように投資家へ説明した行為などが問題視された。SECによると、マンソンは、あるファンドが実際には保有していない未上場企業株を持つと虚偽の説明をした疑いがある。
さらに、未上場株を顧客ファンドに高値で転売してコストをゆがめたほか、未承認の手数料を課した疑いも指摘された。
こうした論点は、近年拡大するトークン化証券にも通じる。未上場企業へのエクスポージャーがオンチェーンに移り、投資商品の形態がSPVからトークンへと広がっているためだ。ただし、トークン化されたからといって、実際の所有権や基礎資産の保有が保証されるわけではない。
SEC内の関係部門も1月、トークン化証券に関する声明で、証券をオンチェーン化しても連邦証券法の適用自体が変わるわけではないと明言していた。
今回のSECの調査で問われているのは、商品の名称やスキームではなく、販売側が約束した未上場株を実際に保有しているかどうかだ。AI企業の未上場株に資金が集まる中、今回の確認が今後の執行強化に発展するかが注目される。