AI需要の拡大を背景に各地でデータセンター新設が進む。写真=Shutterstock

英スコットランドの歴史ある小村オフタートゥール近郊で進む大規模データセンター建設計画に、地元住民の反発が強まっている。英国がAIインフラの拡充を急ぐ一方、地域では電力網や用水、景観への影響を懸念する声が広がっており、計画審査の長期化も指摘されている。

米TechRadarが現地時間8月31日に報じたところによると、計画地はスコットランド・ファイフのオフタートゥール近郊で、敷地面積は170エーカー超(約68万7966平方メートル)、電力容量は600MWに上る。開発事業者によれば、完成すれば米ネバダ州のCitadelキャンパスに次ぐ世界第2位規模のデータセンターとなる見通しだ。計画地は村の面積を上回る規模で、建物の高さは最大35メートルに達するとされる。

これに対し、計画には1600件を超える反対意見が寄せられている。スコットランド議会議員のデービッド・トーランス氏は、「25年の政治経歴で、地域開発計画にこれほど多くの反対が集まった例は見たことがない」と述べた。スコットランド各地でも大型データセンター開発を巡る摩擦が続いており、エアドリーやラバートでも同様の対立が起きている。

スコットランドがデータセンターの有力候補地として注目を集める背景には、豊富な電力供給、比較的低い地価、冷涼な気候がある。英国のAIインフラ拡大政策も追い風となり、北部での大規模開発機運が高まっている。ただ、600MW級の施設は膨大な電力を消費するため、地域の電力網や用水への負荷、景観への影響を懸念する声は根強い。

足元では規制も強化されている。スコットランド政府は8月17日から、50MWを超える新規データセンター計画の申請が受理された場合、地方自治体が7日以内にスコットランド政府へ通知するよう義務付けた。オフタートゥールの案件についても、当初は不要とされていた環境影響評価について、改めて提出を求めた。これにより、審査日程の遅れは避けられない見通しだ。

政界では、データセンター開発の一時停止を求めるモラトリアム論も浮上しているが、現時点で政策として固まったわけではない。英国がAI分野の競争力確保に向けてデータセンター増設を進める中、今後は計算資源の規模だけでなく、電力・用水の確保や地域社会の受容性が、事業の成否を左右する焦点となりそうだ。

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