金融庁は、2027年度税制改正要望において、信託型ステーブルコインに関する税務報告の見直しを求めた。受益者別の信託報告書・計算書の提出義務を廃止する内容で、実現すれば2027年4月1日からの適用が想定される。
8月31日付のCointelegraphによると、金融庁は同要望を2027年度の税制改正項目に盛り込んで提出した。信託型ステーブルコインは、法定通貨などの準備資産を信託財産として分別管理し、それを裏付けとする受益権をトークン化したデジタル資産を指す。
見直しの柱は、信託型ステーブルコインに適用される受益者別の信託報告書と計算書の提出義務の廃止だ。これらの書類には受益者の氏名や所得情報などが含まれるが、金融庁は現行の報告体制が実際の流通・利用形態に合っていないとみている。
金融庁は、信託型ステーブルコインが多数の利用者の間で流通し、取引頻度も高い資産だと指摘した。あわせて、保有しているだけでは所得が生じない点も強調している。決済や取引手段として使われる資産に、従来の信託課税実務をそのまま当てはめるのは難しいとの判断が背景にある。
要望が立法手続きを経て実現すれば、免除措置は2027年度の開始日である2027年4月1日から適用される可能性がある。現時点では金融庁による要望段階にとどまっており、今後は税制改正や関連法令の整備が焦点となる。
日本では、暗号資産を既存の金融資産制度に近い枠組みに取り込む方向で制度見直しが進んでいる。こうした流れは、今年1月に片山さつきが関連内容に言及したことを機に本格化した。
7月には国会が、暗号資産を金融商品取引法の枠組みの下で金融資産として分類する改正案を可決した。
今回の要望は、ステーブルコインの実利用拡大を見据えた制度整備の一環といえる。税務報告の負担が軽減されれば、関連サービスの設計や流通のあり方にも影響を与える可能性がある。
もっとも、対象は信託型ステーブルコインに限られる。すべての暗号資産やステーブルコイン全般に同様の措置が広がるわけではない。今後の立法過程では、免除対象の定義や報告義務の見直し方法がどこまで具体化されるかが注目される。