中国の人工知能(AI)企業Z.aiの上期業績が大きく伸びた。6月30日までの上期売上高は前年同期比400%増の9億5389万元となり、クラウド・API事業の拡大が成長をけん引した。純損失は縮小したものの、研究開発費とAI推論コストの増加が引き続き収益性の課題となっている。
香港紙サウス・チャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)が8月31日付で報じた。
Bloombergが集計した市場予想では、Z.aiの通期売上高は2025年の7億2430万元から、2026年に514%増える見通しだ。
上期の純損失は20億7000万元で、前年同期比12.1%減となった。一方、調整後純損失は19億6000万元と同12.1%増加した。研究開発費も33.6%増の21億3000万元に膨らんだ。
同社は計算資源の拡充と基盤モデルの性能向上に向けた投資を積極化している。今回の決算で特に目立ったのは、クラウド経由の導入・提供事業の急成長だ。
同部門の売上高は前年同期の2900万元から8億2500万元へと2736%増加し、売上構成比も15.2%から86.5%に拡大した。これに対し、オンプレミス案件の売上高は20.5%減の1億2870万元にとどまった。収益の軸足が、企業ごとの個別構築からクラウドAPIやサブスクリプション型のエージェント製品へ急速に移っていることを示している。
Z.aiはAIモデルの提供にとどまらず、ZコードのコーディングツールやAutoGLM、消費者向け製品を含むエージェント・プラットフォームへと事業領域を広げている。
もっとも、売上高の拡大がそのまま収益性の改善につながっているわけではない。上期の売上総利益は2億5200万元で前年同期比163.7%増となったが、売上総利益率は50%から26.4%へ低下した。クラウド推論事業は、推論処理に継続的な計算コストがかかるため、オンプレミス型に比べて相対的に採算が低くなりやすい構造にあるという。
同社は業績拡大と並行して、AIモデルの投入ペースも引き上げている。3月にGLM-5-TurboとGLM-5.1、6月にGLM-5.2を投入し、8月には最新の主力モデルGLM-5.3を公開した。
GLM-5.3は、AIモデル評価企業Artificial AnalysisのIntelligence Indexで60点を記録した。中国の代表的なオープンウェイトモデルとされるMoonshot AIのKimi K3と同水準という。
Z.aiはGLM-5.3について、基盤モデル自体は変更せず、事後学習だけでコーディング能力と長期タスクの実行能力を高めたと説明している。
先週には、低コストのマルチモーダルモデルGLM-5.3-Flashも公開した。同モデルはOpenRouterとOpenCode上で「Ox Alpha」として匿名でテストされ、テストトラフィックは大規模な中国製AIチップのクラスターで処理したと同社は明らかにした。
株価の反応は一方向ではない。香港市場に上場するZ.ai株は、決算発表前の31日に9.63%高の1195香港ドルで取引を終えた。ただ、6月に付けた高値2980香港ドルと比べると、なお約60%安い水準にある。
当時の時価総額は一時1兆香港ドルに迫った。中国の大規模言語モデル(LLM)企業に対する期待は依然として高い一方、AIサービス需要の拡大に伴って計算資源の確保や推論コストの負担も重くなっている。
同社は過去に、需要が集中する時間帯に計算資源の不足でサービス品質に影響が出たことを認めている。その一方で、顧客はモデル性能を理由に値上げを受け入れているとも説明した。急増するクラウド・API需要を安定した継続収益につなげつつ、推論コストと計算資源の供給制約をどこまで抑え込めるかが、今後の焦点となる。