米連邦準備制度理事会(Fed)の9月利上げ観測が強まる中でも、暗号資産市場は比較的底堅さを保っている。予測市場では9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ確率が据え置き予想を上回り、米国債利回りも上昇したが、ビットコインは7万8000ドル台を維持した。
ブロックチェーンメディアのThe Defiantによると、8月31日時点で予測市場Polymarketでは、9月15〜16日のFOMCで0.25ポイントの利上げが実施される確率が55.5%となった。据え置きの43.5%を上回っている。
利上げ観測の高まりは、ケビン・ウォッシュFed議長が8月29日のジャクソンホール会議で、インフレ鈍化への慎重な見方を示したことを受けて強まった。ウォッシュ議長は、この夏の物価指標について「意味のある改善を示したとは言い難い」と述べた。
金融政策の方向性については、規律を重視する姿勢を示しつつも、個別の対応には踏み込まなかった。
債券市場はこれに反応した。米10年債利回りは29日に4.73%と、前日の4.67%から上昇。30年債利回りも5.19%から5.22%へ上昇した。
同じ期間、ブレント原油は1バレル90ドルを上回り、米株式市場は下落して始まった。金価格も2営業日続落した。
こうした環境下でも、ビットコインは金利見通しの変化や、週末に発生した米国とイランの軍事衝突の影響を受けながら、底堅く推移した。ビットコインは7万8000ドル台を維持し、イーサリアムも2470ドルを上回った。
一方、主要アルトコインの値動きはまちまちだった。XRPは1.38ドルと直近7日で6.60%下落。ソラナは103ドルと24時間では小幅安だったが、週間では5.95%上昇した。BNBは691.03ドルで1.57%下落した。
市場関係者の見方は分かれている。DeVere Groupのナイジェル・グリーンCEOは、ウォッシュ氏の発言に市場が過剰反応しているとの見方を示した。
グリーン氏は「警告は決定ではない」と述べ、投資家が利上げを急いで織り込んでいると指摘した。さらに最近の雇用指標に触れ、「弱含み始めた労働市場に対し、追加的な引き締めは行わないだろう」との見方を示した。
実際、ウォッシュ氏が重視する経済指標は強弱が入り交じっている。8月12日に公表された7月の消費者物価指数(CPI)は、総合が前年同月比3.4%上昇、コア指数は同2.5%上昇だった。
その一方で、8月7日に発表された7月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が2万3000人減少し、失業率は4.1%となった。
次の重要材料は、9月11日に発表される8月CPIだ。FOMC開催の4日前に公表されるため、9月会合の判断に直接影響する可能性がある。
ビットコインは月間ベースでも強い上昇基調を維持している。8月の始値は6万2892ドルで、8月31日時点の上昇率は24.5%となった。
月初から月末までの上昇率がこれを上回った直近の例は、2024年11月の37.1%上昇だった。ただし、2025年10月に記録した過去最高値12万6080ドルと比べると、依然として37.9%低い水準にある。
資金フローはまちまちだ。ビットコイン現物ETFは8月29日に2億190万ドルの純流出となり、5営業日連続の資金流入が途切れた。
ただ、週間では9億2450万ドルの純流入を維持した。イーサリアム現物ETFは8月29日に1億210万ドルの純流入となり、週間累計では8億1570万ドルの流入だった。
分散型金融(DeFi)市場はやや縮小した。DefiLlamaによると、DeFiの預かり資産総額(TVL)は872億7000万ドルで、24時間で0.83%減少した。
一方、ステーブルコインの供給量は3112億ドルで、直近7日では0.33%、直近30日では1.30%増加した。
個別トークンではCronos(CRO)の下落が目立った。Cronosは、ネットワークを約1万1000ブロック巻き戻して再起動した後、7.9%下落した。
Cronos側は「ネットワークはブロック生成を再開し、正常化した」と発表し、チェーンの状態を攻撃発生当日の朝以前に戻したと説明した。一方、ソラナモバイルのトークン「Seeker」は、上位150の非ステーブルコインの中で最大の上昇率を記録した。
市場の焦点は、9月のCPIとFOMCに移りつつある。利上げ観測が優勢に傾く一方で、ビットコインが7万8000ドル台を維持していることから、今後の方向感はマクロ指標と資金フローの双方に左右されそうだ。