Rippleの元最高技術責任者(CTO)であるデイビッド・シュワーツ氏が、BitcoinのBIP-110を支持する一部陣営による独自チェーン構想を公然と批判した。BLAKE2bを採用したハードフォーク再挑戦が進むなか、「レガシーチェーンを直す」という発想そのものが誤っていると指摘している。
ブロックチェーンメディアのU.Todayが8月31日(現地時間)、報じたところによると、シュワーツ氏はX(旧Twitter)上でBIP-110支持者と応酬し、「レガシーチェーンを直す」という表現は誤った前提に立っていると主張した。
発端は、あるユーザーがBLAKE2bの採用を「Bitcoinへの攻撃」と位置付け、今回の動きを過去のBitcoin Cash(BCH)やBitcoin SV(BSV)のフォークになぞらえたことだった。
ここで論点となっているのは、開発者ルーク・ダッシュジュニア氏が支持するハードフォーク計画だ。既存の採掘アルゴリズムであるSHA-256dをBLAKE2bに切り替え、9月1日に新チェーンを立ち上げる予定だという。
これに対し、BIP-110支持者のルガット氏は、別のプルーフ・オブ・ワーク(PoW)方式や代替チェーンを志向することが、なぜ攻撃と見なされるのかと反論した。Bitcoin Coreの方向性に反対するなら「フォークすればよい」と言われたため、実際にフォークして別のPoWを選んだだけであり、現在は独自チェーンを構築しているにすぎないと主張。参加はあくまで自発的なもので、誰にも追随を強いていないとも述べた。
これに対しシュワーツ氏は、当初から攻撃だったわけではないとしつつも、「敗北を受け入れない時点で、ガバナンスへの参加は攻撃に変わる」と応酬した。
その後、ルガット氏が敗北自体は認めたうえで、「レガシーチェーンを直そうとする試み」が失敗し、別の場所でBitcoinの系譜を継いでいるだけだと再反論すると、シュワーツ氏はその表現を引用し、「自分が何を言っているのか考えてみろ」と切り返した。
今回のやり取りの背景には、Bitcoin Knots陣営が進めてきた2度目のチェーン分離の試みがある。先行するBIP-110ベースのチェーンは、8時間で2ブロックの生成にとどまり、実質的に停止した。
このため新バージョンでは、既存のBitcoinマイナーへの依存を減らす狙いから、PoWアルゴリズムをSHA-256dからBLAKE2bに変更した。
BIP-110は、Bitcoinのブロックスペース利用を巡る対立を背景に浮上した。オーディナルズ・インスクリプションやBRC-20、ルーンズトークンといった任意データの記録を一時的に制限するソフトフォーク案とされる。
狙いは、非金融データによるブロックスペース占有を抑制することにあった。ただ、ネットワーク全体の合意は得られず、支持者による独自チェーンの模索へと発展した。
もっとも、今回の再挑戦に対するエコシステム側の支援は確認されていない。主要取引所やウォレット、Lightning実装のなかで、このチェーンへの対応を表明した例はないという。
技術的にチェーンを立ち上げられたとしても、流通、保管、決済の各インフラが伴わなければ、実際のネットワークとして定着させるのは難しい。当面の焦点は、コミュニティの支持をどこまで広げられるか、そして関連インフラとの連携を確保できるかにある。